市立図書館で出版セミナー
吉川市立図書館が18日、市民交流センターおあしすで、「本の雑誌社」代表の浜本茂さんを講師に招いて「出版セミナー」を行った。
浜本さんは「本の雑誌」編集発行人で、NPO法人「本屋大賞実行委員会」理事長。「本屋大賞」スタートからの裏話などを集まった20人に披露し会場を沸かせていた。
「本屋大賞」は、新刊小説を対象に書店員が投票して決めるユニークな賞。2004年にスタートし、今年で21回目を迎えた。今年は、宮島未奈の「成瀬は天下を取りにいく」(新潮社)が大賞に輝いた。浜本さんが「『成瀬……』を読みましたか」と尋ねると、3人ほどしか手が上がらず、「皆さん本を買わないのかな」と苦笑いした。
本屋大賞はいわば、書店と出版社が一番売りたい本の賞で、本を売ることを目的としている。1次審査で10作品に絞り込み、10作品全て読んだ人が2次審査の投票を行う。決定から発表まで1か月間空けるのは、「本屋大賞受賞」を刷り込んだ帯を付けたり配本の手配をしたりするためだ。直木賞や芥川賞のように決定から発表まで間がないと、本が書店から消えることがある。
第1回大賞の「博士の愛した数式」(小川洋子著)は、発表前に新潮社に5000部増刷を依頼した。同年、第55回読売文学書を受賞したことも追い風となり、「博士……」は同社のミリオンセラー到達最短記録を打ち立てた。
最初は「本屋大賞」が浸透しておらず、販売元に配本を頼んでも難色を示されたことがあったという。だが、第2回大賞の「夜のピクニック」(恩田陸著、新潮社)あたりから、配本などを頼みに行った際「出迎えが変わった」と浜本さんは話し、会場の笑いを誘った。
越谷市内の書店員で児童書・学習参考書を担当している海保千年さん(51)は「本屋大賞は(書店員の)ちょっとしたお祭り」と話に聞き入っていた。吉川在住の60代女性は「出版側の話を聞いてワクワクした」、鈴木彰夫さんは「裏話や発表前1か月の話に感動した」と話していた。
〝自販喫茶〟誕生 皆の憩いの場に
吉川市きよみ野の同市立図書館にカフェコーナー「じはんきっさ」が誕生した。
図書館が、自宅や職場とは別の第3の居場所「サードプレイス」であり、「市民の憩いの空間」であり続けるために、5年前から設置を計画。新型コロナウイルスの影響で延び延びになり、4月25 日にようやく設置された。
飲み物の自販機で、図書館の入り口脇に設置された。メニューはコーヒー、カフェオレ、ココア、ティー、コーラなど。価格は一杯100 円で、缶やペットボトルに比べて安価で、図書館の本を片手にくつろげるのが魅力。「今後もより居心地の良い環境を提供していきます」と同図書館の竹林聡館長は話している。