「令和5年吉川市の文化財企画展」が10月20~25日、吉川市役所1階コミュニティルームで開かれた。明治5年(1872年)に学制が公布され、6~9年までに芳川小学校(現・吉川小学校)、郁文学校(現・旭小学校)、時習学校(現・三輪野江小学校)など8つの学校が設立され、今年は150年の節目に当たる。これを機に「小学校のはじまりと校歌」をテーマに、小学校の変遷をたどり、貴重な学校資料を未来に残す意義を考えてもらおうという狙い。
中央には、埼玉県内最古の校歌と言われる、横2・3㍍の芳川尋常高等小学校校歌額が飾られた。作詞者の千家尊福(せんげ・たかとみ)直筆で、明治29年の校舎新築の際に贈られたという。歌詞はすべて変体仮名で書かれており、退色や紙の剥落(はくらく)はあるものの、美しさが随所にうかがえる。また、作曲した鈴木米次郎は、のちに東京音楽大学を設立した人物として知られる。吉川小では、この校歌が制定時のまま現在も歌い継がれており、学校の統廃合が進む中では極めて珍しいという。
額は長年、体育館の上部に掲げられていたが、2年前から文化財保存の動きが高まり、今年6月に体育館から下ろして、調査を含めて企画展を開催することになった。
「体育館に当たり前のようにあったものに、改めて光を当てた。今後、調査報告書を出し、どう保存するかを関係者と考えていきたい」と同市生涯学習課の山﨑功二・副主幹は話す。
ほかには、吉川小、三輪野江小に残る校歌関連資料や各小学校に保管されていた貴重な学校関係資料も展示された。反響は大きく、来場者が6日間で300人を超えるほどだった。今月29日には「市内文化財めぐり~小学校の誕生の地をたずねる~」のバスツアーが予定されている。
吉川市/文化財に見る吉川 小学校歴史伝える展示