草加市

草加市/森埜さん、花栗南小へ著書「どすこい」寄贈 

 草加市在住の児童文学作家、森埜(もりの)こみちさんが8日、作品執筆で取材した同市立花栗南小学校を訪れ、1月に出版した児童図書「どすこい❢」(国土社、四六判192㌻、1540円)を寄贈した。
 「どすこい❢」は、綾瀬川小相撲チームの小学6年生「凡(ぼん)」が、春の相撲大会で相撲道場に通う転校生に敗れ、親友の健太とともに元力士の駄菓子屋のおじいさんから指導を受けて成長し、秋の大会で雪辱を果たす――という内容。

図書室で児童に本を手渡す森埜さん(左)
図書室で児童に本を手渡す森埜さん(左)(写真提供・草加市)

 同市は全小学校に土俵があり、コロナ禍前までは毎年6月に個人戦、11月に学校対抗の団体戦を開くなど相撲が盛ん。両大会とも40年近い歴史があり、団体戦には約50チームが出場する。
 森埜さんは岩手県出身で、大学時代に上京。2010年に草加市に引っ越した。翌年の秋頃、勤務先の一般財団法人を退職し、好きだった児童文学の創作活動を始めた。17年、「第19回ちゅうでん児童文学賞大賞」を受賞した「わたしの空と五・七・五」でデビューした。

森埜さんは同小に計13冊の著書を寄贈(写真提供・草加市)

 今回の作品のきっかけは19年6月の市教育委員会主催の相撲大会。試合に負けた子どもたちが号泣する姿を見て、「どれだけ頑張ったのだろう」と興味をそそられ、11月の団体戦前の2週間、花栗南小に頼み込んで練習を毎日見学した。普段はお調子者の子どもたちが稽古に入ると一転、真剣な表情で取り組む姿に着想を得て執筆したという。

 森埜さんは同校図書館で司書などに計13冊を寄贈。「作品を通し、一歩踏み出す大切さを伝えたい。取材のお礼として、児童らに楽しんでいただければ」と優しい笑顔を向けた。
 本を受け取った同校図書委員長の加藤蓮菜さん(6年)は、「いただいた本は大切にし、全校で読んでいきたい。これからもすてきな本をたくさん書いてください」と喜んでいた。