草加市

感動の“被爆再会”、芝居に

1人芝居「はぁちゃんへの手紙」を演じる暁つきさん
劇中で手紙を朗読する土田和美さん

 広島で被爆した経験のある草加市栄町の土田和美さん(81)は昨年10月、被爆直後に離れ離れとなり、行方のわからなかった幼なじみと、もう一つの被爆地・長崎で75年ぶりに再会した。この感動の再会を原案にした一人芝居「はぁちゃんへの手紙」の公演が14日、草加市立谷塚中学校で2年生を対象に行われた。
 演じたのは同市在住の舞台創造作家兼俳優の暁(あかつき)つきさん(41)。暁さんは土田さんの話や被爆者の証言集などを基に脚本を書き上げた。今年9月、同市中央図書館での公演の後、「平和のメッセージを伝えるためにも、子どもたちに見せてほしい」との要望が強く、同中での公演が実現した。

 広島で当時4歳の土田さんと、幼なじみで当時6歳の正木晴彦さんが配給先に物資を受け取りに行った時に被爆。土田さんは無傷だったが、正木さんは重いやけどを負った。その直後、バス停で別れてから土田さんは、正木さんの消息がわからなくなった。昨年夏、広島を訪れた土田さんは偶然、正木さんが長崎にいることを知り、手紙を出したところ返信があり、75年ぶりに電話で会話できた。その際、土田さんは自分が無傷の理由を知った|というのが一人芝居の内容。

 土田さんは昨年10月、長崎を訪れ、正木さんと再会した。再会の様子の映像も芝居の最後に流された。
 公演を見た隈﨑真衣さん(13)と河原優羽君(14)は「教科書だけではわからない事実を後世に残していきたいと思った」と感想を話した。土田さんと暁さんは「平和の尊さや命の大切さを改めて考えてもらいたい」と話す。
 この一人芝居は、来年2月24日まで市内全中学校11校で公演される。