草加市

草加/木管楽器の切削具販売

音楽家、家業継ぎ着想

 草加市在住のマリンバ奏者の竹花真弓さんが手がけた木管楽器のリード専用切削道具「リードシャープナー」が、10月から同市の切削工具メーカー「トンボ」から本格的に販売される。

 リードとは、クラリネットやサクソフォンなどの木管楽器を演奏する際、マウスピースに装着する薄片。息を吹き込んだ時、リードが振動して音が鳴る。プロはリードの繊細な口当たりが演奏に影響するという。

リードを削るために竹花さんが企画し、開発されたリードシャープナー


 「リードシャープナー」は長さ7㌢、6㍉角の超硬質合金製。鋭利な三角形と鈍角の四角形のシャープナーを一つにまとめた研ぎ器で、①リードの先端(ティップ)を削る②スロープ状になっている表面の凹凸(ヴァンプ)を削る③裏面を平らに整える―などに使用する。木製からプラスチック製まで幅広い材質や用途に使用でき、再研磨が可能なのも売りの一つ。

 メイド・イン・ジャパンのオンリーワン切削アイテムとして、同市地場産の皮革を使用した専用ケースや桐箱に入れて販売する。価格は1万9800円。音楽家のためのツールブランドとしての展開も見据え、ロゴも作成した。

 「トンボ」は1975年に東京・墨田区で工業用ヤスリの製造・卸業として創業し、鉄工用ヤスリなどの製造販売を行ってきた。だが、2020年に社長だった竹花さんの父親が病気で入退院し、竹花さんが会社を継ぐことを決めた。「コロナ禍で仕事がなくなったこともある。ヤスリのことは何も知らなかったが、父親への感謝が強かった」という。翌年には本社を東京から草加市に移転した。

 本業の工業用ヤスリは売り上げが伸び悩んでいることから、音楽家の知見を生かして「リードシャープナー」を着想した。「ヤスより鋭くナイフより優しい削り心地」をコンセプトに、知り合いの音楽家にも協力してもらい、20~30回ほど試行錯誤を繰り返して今年6月、ようやく商品として仕上がった。

 竹花さんは「恩返しと恩送り。歩みは遅いが、夢に向かって歩んでいきたい」と話す。同社は「県経営革新計画承認企業」にも認定されている。
 <トンボ>☎︎936・7671