草加市草加1の細密画家、大沢金一さん(72)がこのほど、作品集「生き物図鑑andふるさと草加市の図鑑」を自費出版し、市立中央図書館、国立国会図書館、県立図書館に各2部寄贈した。
約50年間、子ども向け図鑑などに描いてきた仕事の集大成。大沢さんは「コンピューターグラフィック全盛の中、手描きの味わい、可能性を感じてもらえれば」と話す。
草加市生まれ。幼い頃から父や叔母の影響で絵を描き、高卒後、東京都内の画塾や専門学校で学んだ。学生時代のアルバイトで大手出版社の図鑑作りに携わり、カエルの細密画が評価されて嘱託社員に。さまざまなイラストを手がけ、結婚を機に独立した。
30年前からは妻や父母の介護のかたわら、出版社、テレビ局などの依頼で描いてきた。妻、父に続き母が他界したのを機に昨年、筆をおいたという。
作品集はA4変型判で、144㌻のオールカラー。大手出版社の図鑑シリーズなどで描いた作品は動植物を徹底し観察し、細部まで描き込まれている。「広報そうか」に1997年4月から6年間連載した植物、野鳥、昆虫のシリーズやペットの犬猫、草加の風景も収録されている。
「観察力が大事。魚のうろこの数など学術的に決まっている。子どもが見る図鑑だけにおろそかにできない」との信条で描いてきた。コロナ禍で個展は中止したが、来年にも「草加三十六景」を発表しようと準備している。
作品集は100部作成。世話になった人にプレゼントしている。ペットの原画など手元にないものも多く、「原画をお持ちの人に本をプレゼントしたい」と話している。