三郷市彦成のアルバイト従業員、古林青史さん(ペンネーム)(65)がこのほど、孔子の門弟の宰予(さいよ)( 宰我(さいが)とも言われている)を題材にした小説「宰予―孔子から不仁な者と呼ばれた弟子の物語―」(A5判、436㌻、1650円)を自費出版した。
「宰予」は、孔子の門弟の中でも優れた10人の一人に数えられる俊才。特に言論に秀で、容姿も端麗な”才色兼備”の男性で、優れた行政手腕も発揮していた。
しかし、実利主義的で道徳を軽視していたため、礼や道徳を重んじる孔子から、「不仁な者(慈愛のない人)」との烙印いを押されてしまう。そのため、孔子の「論語」の中でも、孔子が宰予に言及したり、対話しているのは5か所だけと極めて少ない。
古林さんは、師でもある孔子から、なぜ「宰予」が厳しく非難されたのか、との疑問を持ち、弟子の「宰予」から孔子像が見えてくるのでは――と3年前から筆を執り、昨年末、埼玉新聞社から刊行した。
内容は若くして孔子の門下に入った「宰予」と孔子との関係、その半生を史実を基に豊かな発想力で描いている。
古林さんは「孔子の教団の中でも『宰予』はよいイメージがない。だからこそ、関係が面白い。少なくとも『不仁』という烙印は『宰予』の人物評価にはつながらない」とし、「当時の孔子の教団が経済的にどう維持されたのか、独自の解釈も盛り込んだので楽しんで読んでもらえれば」と話している。
各書店のほかインターネット通販でも購入できる。
<問い合わせ>埼玉新聞社(出版担当)☎048・795・9936。