子どもたちのために部活動の地域移行を進める 駒崎秀雄さん(75)
「地域の人々が部活指導員となり、子どもたちの活動の幅を広げたい」と話す。
学校の働き方改革に伴い、部活動を地域に移行する動きが昨年から出ている。教員に代わり指導するのは、スポーツクラブのコーチなど経験豊富な地域の人材。「陸上競技全般や健康については自分や自身の後輩たちが指導できる」と強調する。
三郷市彦成出身。小学生の頃から大の巨人ファンで、プロを夢見て遠投やノック、ランニングなどで体を鍛える毎日を送った。だが、中学野球部の体罰に近い指導を見て幻滅、ブラスバンド部に入部した。しかし、スポーツ万能だったため「幅跳びや棒高跳び、リレーなどの選手として声がかかり、さまざまな大会に呼ばれては出場していた」と笑う。
高校ではやり投げの道へ進んだが、肩や肘を壊して大会にはほとんど参加できず、悔しい思いを味わった。それでも「陸上競技を生かして未来を担う教員に」という恩師の言葉に胸を熱くし、高校体育教師になることを決めた。
校長となった後も陸上部の生徒たちを指導、何人もインターハイに出場させた。三郷市陸上競技場の新設にも尽力するなど陸上競技発展に貢献してきた。
一方、1977年に行われた日本陸上選手権大会に「十種競技」の選手として出場。陸上競技者として実績を重ねた。10年前の退職を機に三郷市陸上競技会に「マスターズ陸上部門」を設け、自ら参加。今年4月にはマスターズ陸上の投てき五種競技・M75クラス(75~79歳男子)で日本新記録を樹立した。「自分の記録を超えるのは自分だけ」と、今後も記録更新を目指す。
30歳の頃、ロシアの陸上選手から「システムに一貫性がないと選手が育たない」と選手育成の秘訣を聞いた。「子どもたちの運動欲求を満たし、スポーツの楽しさを味わってもらいたい」と活動を続ける。子どもたちの未来を見据え、「指導者、環境・施設、お金の問題をクリアし、指導を組織化していきたい」と意欲を燃やしている。
(佐藤 龍一)