越谷市の市民グループ「こしがや能楽堂さぽーたー那月会」(中野茂会長)は10月23日、24日の2日間、日本文化伝承の館こしがや能楽堂で「第8回文化の集い」を開催した。市内や近隣で日本文化に関する活動をしている市民団体や個人の発表の場で、雅楽や日本舞踊、詩吟、民謡などの発表や和紙人形や襖絵(ルビ・ふすまえ)の展示などもあった。
今回の展示でひと際目を引いたのが、能楽堂入口に展示された「創作和紙人形」と「木版画」のコラボレーション展示。初の試みで、和紙人形は人形作家の會田優子さん(67)(八潮市)が制作。「木版画」は版画作家の野村正義さん(76)(茨城県牛久市)が制作した。
襖絵となった大きな木版画を背景に、色鮮やかでさまざまなポーズをした上品な和紙人形50体が並ぶ様子は壮観、来場者の目を釘付けにした。和紙人形は「江戸時代の子どもたち」や「七五三」など高さ15㌢から30㌢ほどの和紙で作った人形たち。
會田さんは1995年に紙人形作家の入谷愛子さんに師事し、人形作家として活動。「古き良き時代の人々の暮らし、文化、風俗や古典文学、童話などをテーマにモチーフに制作。特に平安時代と江戸時代にこだわっている。これまで約350対の和紙人形を制作。各地で個展を開いている。
會田さんは「コロナの緊急事態宣言が解除されて、待ちに待った展示。外出自粛で、製作時間はとれたので、今回は新作を多数展示できた。今後は源氏物語の世界に挑戦したい」と話していた。
一方、木版画は襖絵に椿の花を描いた大作。立体的に表現され、赤い花が会場に映える。野村さんは元大手印刷会社のアートディレクター。版画は会社退職後の65歳から本格的に制作している。自然をモチーフにした作品が多い。野村さんは「和紙人形とのコラボは初めてですが、版画と組み合わせると、お互いが映えることに気づきました。襖絵ですが、主張過ぎないところが良かった」と話していた。
会場を訪れた、自営業、荒木由美子さん(54)は「會田さんの人形のファンで、この日を楽しみに来ました。人形にはそれぞれ動きもあり、見ているとホッとします。木版画の襖絵は重厚感があっていいですね」と笑顔で話していた。
このほか、能舞台を使った演出部門では、市内在住の音楽家、成田美智恵さん、遠藤真弓さんによる、マリンバデュオ「Rhyme」(ライム)によるマリンバの演奏や日本舞踊、かっぽれなどの発表があり、多くの市民がイベントを楽しんだ。
創作和紙人形と木版画のコラボ・越谷で「文化の集い」