越谷市

越谷/洪水被害低減へ 市が田んぼダム実験

田んぼダムの仕組み(農林水産省「『田んぼダム』の手引き」より)
田んぼダムの仕組み(農林水産省「『田んぼダム』の手引き」より)

 越谷市は大雨による洪水被害を低減させるため、8月から市内の水田で「田んぼダム」の実証実験を始めた。水田が持つ貯水機能を利用し、大雨が降った際に一時的に水をため、時間をかけて排水することで、下流の排水路や河川の水位上昇を抑え、洪水被害リスクを低減させる取り組み。来年11月末まで実験を続けてデータを集め、検討結果を生産者や地域住民と共有しながら、田んぼダムの普及拡大を目指すとしている。
 同市は7月23日、実証フィールドとなる農地を提供してもらう(株)ニイザカファーム(新坂真之代表取締役)、有限会社日伊(渋谷勇代表取締役)の2法人、ICT装置の設計・設置をしてもらう東日本電信電話埼玉南支店(霜鳥正隆支店長)と、「ICT装置を活用した『水田ポテンシャル調査』に関する連携協定」を締結した。
 実証実験は協定に基づき、同市船渡の水田2・8ヘクタールで行う。水田の排水口に「水位調整板」や小さな穴の開いた「流出調整板」を設置し、大雨時は通常より約10センチ高くすることで、2800トンの雨水を一時的にためられるようにする。さらに、この田んぼダムの上流、中流、下流計3か所と、田んぼダムにしていない通常の水田1か所に水位計を設置し、水位変化による貯留効果を測定する。農業者が営農しながら、農作物の生産に影響を与えない範囲で実施する。