越谷で新人研修の田植え
越谷市七左町の医療法人「秀峰会」が4月25、26の両日、新人研修の一環として田植え作業を行った。「労働の基本は農業」という中村保喜理事長(37)も加わり、約30人が1日かけて、3反(約30㌃)の田んぼに苗を植えた。田んぼの総面積は12反(約1・2㌶)で、8月下旬には約96俵、約6㌧のコメを収獲できる予定だ。
農作業は医師、看護師、薬剤師、介護福祉士、リハビリ職員ら法人職員が総出で、朝9時からスタートした。「稲を3本持って、30㌢間隔で、しっかり植える」と同法人農業部の大川芳夫さん(75)の指導の下、横一列に並んで苗を植えていった。1列終わると、30㌢下がって次の列へ。足を泥に取られ、腰を曲げてのつらい作業が続いたが、不平不満は出ず、聞かれたのは笑い声と「よいしょ」のかけ声。
田植え研修は、2011年の東日本大震災後に始まった。災害に備えた備蓄米作りがきっかけだが、新人職員とのコミュニケーションを図り協調性を養うことも目的。「新人の様子を業務以外で見られるのは大事」と同法人教育部の村山宏治さん(48)。「通常業務だけではなく、人格形成にもなる。自分だけではどうしようもないことをどう努力するか、協力も大切。患者の気持ちにもつながる」と中村理事長は話していた。
初参加した20代女性介護職員は「泥から足が抜けず膝が痛くなってきた」。30代女性介護職員は「皆さんと声をかけ合いながら足が抜けるようになって楽しくなってきた」と話していた。稲刈り、脱穀作業は8月下旬~9月上旬にかけて行われる。収穫した新米は、スタッフや患者にも振る舞われる。