越谷市

越谷/「本物の音楽 子どもたちに」

難曲を見事に演奏 地元でリサイタル

作曲当時の時代背景を話す後藤さん
作曲当時の時代背景を話す後藤さん

 越谷市在住のピアニスト、後藤泉さんが12月22日、越谷サンシティ・小ホールで開いたピアノリサイタルで、ベートーベンの最高傑作、交響曲第9番「合唱付き」のピアノ編曲版を演奏した。ピアノの名手でもあった作曲家リストが編曲したもので、難曲として知られている。後藤さんの見事な演奏に、聴衆は酔いしれていた。
 後藤さんは、3歳からピアノを始め、草加市立栄小、栄中から桐朋学園高校音楽科を経て、同大学ピアノ科を卒業。現在は越谷を拠点に、全国で演奏活動を行っている。
 後藤さんは3年前、地元の越谷サンシティが建て替えられると聞き、同ホールで最後にやっておきたいと「第九」を弾いた。「ベートーベンはライフワーク」と話すように、交響曲全9曲(リスト編曲)を弾く取り組みを、約3年をかけて完成させた。
 「第九」はベートーベンのほかの交響曲より使われる楽器が多く、編成も大規模なため、ピアノ編曲版も音の数が多く、極めて難度が高い。高い技術がなければソロを弾き通すことは不可能だ。
 最初は聴衆のリクエストに応えて、交響曲第6番「田園」を弾いた。そこから「せっかくだからあの曲も」と全9曲を演奏するように。これを出発点にベートーベンのピアノソナタ全32曲もレパートリーとして弾いている。「これを聞けば1年の締めになります」。今回、フルに弾けば約60分かかる大曲を、1~4楽章の〝いいとこ取り〟をして約30分にまとめた「越谷特別バージョン」を披露した。ほかに、モーツァルトのピアノソナタ第11番「トルコ行進曲つき」やリストの「ラ・カンパネラ」などを演奏した。
 また、作曲当時の時代背景や作曲者の生い立ちなどを話し、観客にクラシック音楽への「扉を開ける役目」も果たした。
 「身近に本物の音楽を、の気持ちを形にし続けたい。地元での活動を大切にし、音楽会を通して越谷を盛り立てたい。子どもたちが将来音楽を好きになってくれるために、大人の本気を見てもらいたい」と力強く語った。
 越谷では、3月2日の「まちかどサロン」(蔵の音)や3月24日の「春色コンサート」(中央市民会館劇場)で演奏する予定だ。<問い合わせ・申し込み>オフィスイズミ☎080・7755・1719またはメールofficeizumi.pf@gmail.com。