越谷市

育児と介護 両立するには 越谷で講座 

専門家に相談 /一人で抱えない

講師の室津瞳さん
講師の室津瞳さん


 育児と介護が重なった時、どう対処すればいいのか―越谷市男女共同参画支援センター(ほっと越谷)で6月22日、「ダブルケア」に準備するための講座が開かれた。誰にでも突然降りかかってくるかもしれない問題に備えるべきことを、講座の内容から紹介する。
 講師を務めたのは、NPO法人「こだまの集い」(東京・杉並区)代表理事で、介護福祉士、看護師でもある室津瞳さん(43)。室津さんは以前、娘が3歳、2人目を妊娠中で、フルタイムの仕事もこなす中、父親が病気で入退院を繰り返すように。
 「ダブルケア」どころか、両親、娘、お腹の子どもに自分自身と何重ものケアをしなければならなくなった。その状態は親が亡くなるまで続いた。
 「ダブルケア」とは、広い意味で家族の中に複数のケアがある状態。例えば、配偶者などパートナーをケアしながら孫の世話をする場合や、障害を抱えた子どもと障害のない子どもの両方がいて異なった教育環境を備えなければならない場合も、「ダブルケア」に当たる。「育児と介護」の場合、育児は妊娠中から子どもの大学卒業まで続き、介護は親などの健康状態を気にかけるようになった時からみとりまで続く。「子育てが終わってから親の介護」と思っていても、そういくとは限らない。

ダブルケア 8割は30〜40代


 ソニー生命の調査によると、子育てと介護の両方を抱えている人は36・6%に上り、その平均年齢は39・6歳。「ダブルケア」の8割が30~40代の働き盛りという。
 「ダブルケア」になる前の心構えとして、①「これはダブルケアなんだ」と気づけるようにしておくこと②一人で抱え込まないと決めておくこと③誰に相談するか決めておくこと―が大切と室津さんは強調する。
 一方、ダブルケアには「波」があり、親が倒れた、子どもが入院する、などの重大なタイミングを乗り切ることが大事だという。
 「ダブルケアは大海原を泳ぎ切るようなもの。浮き輪が必要」と室津さん。1つ目の浮き輪はケアマネジャー(介護支援専門員)などの「人脈」。人の話をよく聞いてくれて、自分のやり方を押し付けない人がよい。2つ目は「知識」。子どもの成長は早いので、子どもとの関係を犠牲にした介護はすべきでないという。ケアマネジャーに「夏休みは子どもと思い出を作りたい」と相談すれば、「その間、親はショートステイにしましょう」などとアイデアを出してくれる。3つめはマネジメント。調整にはコツがあり、専門家に相談すること、ケアのチームを作ることが肝要という。
 介護が必要になったら、まず地域包括支援センターに連絡を、と室津さんはアドバイスしている。