越谷 鳶の親方・染谷家の収蔵品 最終展示
越谷市越ヶ谷の鳶(とび)職親方で、今年1月に96歳で亡くなった染谷隼生(としお)さん所蔵の貴重なコレクションを展示する「越ヶ谷蔵物語第3幕 鳶の親方・染谷家の蔵」の最終展示「合巻・読本(草双紙)、双六(すごろく)、絵図等」が25日まで、越谷市市民活動支援センター・展示コーナーで開かれている。第1、2回展示で紹介した浮世絵・版画以外のものを一挙に公開。源氏物語の双六や長崎の絵図など幕末から明治にかけての貴重な刷り物で、見るだけで楽しめる内容となっている。
染谷家の蔵から見つかった品々を長年調査し、染谷氏のインタビューをオーラルヒストリーとして記録してきた油長内蔵(あぶらちょううちくら)運営協議会(越谷市住まい・まちづくり協議会=若色欣爾会長)が企画。郷土史研究家で作る「越ヶ谷蔵物語史料研究グループ」の早川秀郎さん、宮原泰介さん、河内出さんの3人が解読や調査に当たった。
双六では、3代目歌川豊国の門人、貞秀が描いた「新板子供出世すこ六」。サイコロを振って出目のマスに進む子ども用の双六で、「のんだくれ」「かんどう」「なまぐさ」から「おかみさん」や「だんな」に出世して、「長者」で上がりとなる。源氏物語や歌舞伎役者を題材にしたものも多い。
絵図で面白いは「萬歳楽鯰大危事(まんざいらくねんだいきじ)」。1855年(安政2年)10月の「安政の大地震」の際、ナマズが地下で暴れるから地震が起こるという民間信仰に基づき描かれた「鯰絵(なまずえ)」。頭にかなめ石を置いて動けないようにしている。
また、「新吉原仮宅便覧(かりたくべんらん)」は、江戸の遊郭・吉原が火事で全焼した際、一定期間を定めて江戸市中に店を借りて仮営業した場所を示した、いわば仮店舗の案内チラシ。得意客に配ったと見られる。
早川さんは「一点一点興味深いので、じっくり見てほしい」と話している。
開館時間は午前9時から午後9時30分。入場無料。日午前10時から正午まで同センター活動室Aで展示説明会を開く。講師は早川さん。定員30人。入場無料。申し込みは直接、または電話で同センター。
<問い合わせ>越谷市市民活動支援センター☎969・2750。