「三郷市在宅医療・介護連携推進協議会」(谷口聡会長)、歯科医師、介護事業所職員、地域包括支援センター職員らで作る「広報啓発部会」(吉嵜太朗部会長)はこのほど、「在宅看取りの絵本」(B5判、フルカラー、28ページ)を発行した。
一昨年の「介護の絵本」、昨年の「人生会議の絵本」に続く「介護の絵本シリーズ」3部作の完結編。今回は、終末期を迎えた人を自宅で介護し、親しい家族や親族と一緒に最期を見届ける「在宅看取り」に焦点を当てている。
介護保険制度は2000年のスタートから20年以上が過ぎたが、介護が実際に必要になった時に「どこに相談すればいいのかわからない」という人が少なくない。4年前に同市が40~64歳の市民を対象に実施したアンケート調査の結果では、相談先である「地域包括支援センター」の存在を知らないという市民が6割弱にも達したという。
歯科医、介護職らでつくる
そのため、在宅医療や介護についての相談先などを広く知ってもらおうと、「日本一の読書のまち三郷」にふさわしいものをと、同シリーズが制作された。
難しい専門用語を極力控え、温かい絵柄で文字も大きくした。相談先から、サービス利用、人生ノート(終活ノート)の書き方、在宅看取りまで物語性を持たせ、「読みやすく、わかりやすい」と好評を得ている。
物語の内容は、市内で在宅医療や介護に携わる医師、歯科医師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護福祉士や医療相談員、地域包括支援センター職員が実際の相談内容や実体験を生かして作り上げた。
発行部数は3000部。市内の公共施設や介護保険担当窓口、市在宅医療・介護連携サポートセンターや地域包括支援センター、市内医療機関、薬局などで入手できる。また、「三郷市電子図書館」でも閲覧が可能で、スマートフォンからもアクセスできる。
「絵本」を担当した同市長寿いきがい課では、「死に直結する重い内容だが、誰もが避けて通れない道。自分や大切な人が死を迎える時にどうすればいいかを考えるきっかけになれば」と話している。
また、谷口会長や吉嵜部会長は「医療介護を使うことで自宅での看取りも可能。急変した時の対処法なども絵本で知ってもらいたい」と強調。元々はコロナ禍で講座ができない時のツールとして制作されたものだが、「今後は絵本を生かし、市民に広く講座などを行いながら、介護や人生会議、看取りについて知ってもらえれば」と話している。