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6市1町の消防本部 通信指令の共同運用へ

「共同運用協議会協議書」に調印した6市1
町の首長ら
「共同運用協議会協議書」に調印した6市1 町の首長ら


 県東部の越谷市、春日部市など6市1町の消防本部が、3年後のスタートを目指し、通信指令業務の共同運用に向けた準備を進めている。11日、「東埼玉消防指令業務共同運用協議会」(法定協議会)が設置され、首長7人が出席して越谷市中央市民会館で「調印式」が行われた。119番通報を1か所で受けることで作業の効率化を図り、迅速な出動や救助の指令につなげるのが狙い。災害情報の一元管理による消防力強化や施設整備費の圧縮を図ることができ、人員の効率化によって現場職員の増員が見込めるメリットもある。

26年度開始へ協議会

越谷市消防局の消防指令室
越谷市消防局の消防指令室


 119番通報を受けて指令を出す「共同消防指令センター」(仮称)は越谷市大泊の県立越谷北高校北側の「越谷市消防署桜井分署」(仮称)建設予定地の隣接地に建設する。敷地面積1429平方メートル。建物は鉄筋コンクリート造り2階建て、延べ床面積約1600平方メートル。2025年9月に完成予定だ。
 構成消防本部は、6市1町の越谷市消防局、三郷市消防本部、吉川松伏消防組合消防本部、春日部市消防本部、草加八潮消防局の5団体。同エリアは県の「消防広域第6ブロック」に指定されており、救急搬送する「広域医療圏」も同一。県の指導を受け、今回の協議会を発足した。2026年度からの本格運用を目指している。
 各消防本部には担当する自治体がある。火災や災害が発生した際、自治体内で出動できる人員が少ない場合は、別の消防本部から応援をもらうことが欠かせない。だが、消防本部間で電話でのやりとりが発生し時間がかかる。救急車の配備が少ない消防本部で同時に案件が発生した時なども、同様の交渉が必要になる。
 そうした手続きの時間をなくし、迅速な消防活動につなげるのが共同運用の狙いだ。現在は各消防本部で通報を受け、それぞれで指示を出しているが、それを一つの拠点で行う。拠点となるのが同指令センターだ。同センターに各消防本部の人員を集め、1日45人体制で消防本部の枠組みを越えて指令できるようにする。現場が遠い時、より早く到着できるよう、隣接する消防本部からの迅速な出動も可能になる。
 また、高度なシステムの整備、維持管理の経費を7市町でまかなうことで、大幅な経費削減につなげる。
 20年8月から、越谷市が事務局となり、県が策定した「埼玉県消防広域化推進計画」で第6ブロックに指定されている5消防本部(局)により勉強会を立ち上げ、共同運用に関する基礎調査、共同消防指令センターを設置した場合の経費など検討を進めてきた。
 7市町の総人口は約117万人。越谷市の福田晃市長は「一元管理によってこれまで以上に相互応援の迅速な対応が可能となり、初動体制、支援体制の連携強化はもちろん、災害対応力の向上が期待できる。財政面では、システムの共同化で整備・維持管理経費が削減され、災害対応、財政面ともに住民サービスの向上につながる」と話している。
 県内では、26消防本部中、熊谷市と行田市、坂戸・鶴ヶ島消防組合と西入間広域消防組合の4消防本部が共同運用を実施している。