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64歳でサブスリー達成・越谷の大野さん「東京マラソン」で

 越谷市弥生町の不動産会社「オオノホーム」社長、大野善典さん(64)が、3月3日に都内で行われた「東京マラソン」で、フルマラソンを2時間59分24秒で走り切り、3時間を切る「サブスリー」を見事達成した。60~64歳で出場した3105人中18位。60代での「サブスリー」達成は快挙だ。大野さんは「ランニングを始めてまだ13年。サブスリーを目標に練習してきたので、すごくうれしい」と喜んでいる。
 「サブスリー」とはフルマラソンを3時間未満で走り切るランナーのこと。達成するには1㌔当たり平均4分15秒未満で走り続ける必要があり、相当ハイペースだ。
 大野さんは51歳でランニングを始めた。陸上競技の経験はなかったが、当時、身長172㌢で体重が82㌔あり、「少しでも痩せたい」と始めたという。「最初は100㍍走ったら倒れた。まったく走れないことに落ち込み、まずは健康のために走ろうと少しずつ走る距離を伸ばしました」と話す。
 慣れると楽しくなり、朝の出勤前に8㌔から11㌔を走る生活に。今では月に330㌔以上走る。2010年に初のフルマラソン「ホノルルマラソン」に出場し、5時間36分で完走。そこから記録を伸ばし、12年の「大田原マラソン」で3時間51分。13年の「かすみがうらマラソン」で3時間26分に。「東京マラソン」には15年に初出場し、3時間13分の好記録を残した。
 同年、地元のスポーツ団体「越谷走友会」に入会し、市内の「県民健康福祉村」で毎週土日に30~40代の仲間たちと一緒に走ることに。「若い人に負けないで走りたい」という思いから、16年の「東京マラソン」では3時間10分を記録した。この頃から市民ランナーのステータス「サブスリー」を意識するようになった。
 マラソン大会を通して親友もできた。同世代の会社員、石塚正俊さんだ。毎回一緒に出場、完走することで互いを称え合った。しかし、石塚さんは一昨年11月、がんのため63歳で他界。亡くなる直前、「サブスリー」達成を見越してプレゼントを贈ってくれた。趣味のゴルフのパターだ。「自宅まで届けてくれた顔が忘れられない」。コロナで東京マラソンが中止となり、久しぶりの出場となった今回、親友の思いを胸に念願を達成した。今回は妻の理江子さん(51)も出場し、石塚さんの遺影を手に走った。
 「親友の見えない力が働いたのかな。すぐに墓前で報告しました」と大野さん。
 「越谷走友会」の前会長で現顧問の水落明さん(79)は「60歳を超えてから記録を伸ばしているのが驚異的。日頃のトレーニングの成果ですね」と称える。
 大野さんは「来年もサブスリーを達成できるよう走ります」と張り切っている。