♪光る風に ほほをそめ いつも青空指して 心を燃やす この広場 ――。3月23日、草加市立花栗南小学校(小林和美校長)の卒業式で、6年生約80人が校歌を手話で披露した。
昨年、同市立清門小学校で手話校歌を実現させた小林校長(当時は教頭)が、転任した同校でも「コロナ禍で声が出せなくても心で歌おう」と手話校歌を提案。昨年と同じく、市内で手話通訳などを行う「草加市手話通訳問題研究会・手話友の会」(大津裕子代表)や「草加市聴覚障害者協会」(加藤聡一会長)などの協力を得て完成した。
両会のメンバーらは、校歌を意訳しながら手話に訳し、12月末頃には「手話校歌」の動画を完成させた。卒業生らは3学期初めから「手話校歌」の動画を見ながら練習を重ねて来た。
卒業生の松村羽純さん(12)は「歌や楽器が好きだったが、コロナ禍でその機会がなかった。手話でも友達と歌えたことがとてもうれしい。よい思い出になった」と話し、「後輩にも手話校歌を紡いでいってほしい」と目を輝かせていた。
小林校長は「視力の悪い人が眼鏡を使うように、手話は決して特別なものではないことを児童たちにわかってもらえれば」とし、「自信を持って未来に羽ばたいてほしい」と話していた。
卒業を前にした3月1日、手話校歌作成に尽力した「草加市手話通訳問題研究会・手話友の会」と「草加市聴覚障害者協会」のメンバーの代表4人が「お礼の会」の出席のため、同校を訪問し、7人の児童代表と対面した。
児童らは練習してきた手話校歌を披露し、「手話校歌があってよかった」などと感想を述べた。1番から3番まである校歌を、児童らが懸命に手話で披露する姿を見た来校メンバーの4人が思わず涙ぐむ場面も見受けられた。
その後、福祉を学んでいる4年生児童のお礼の手紙などが手渡された。