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東武よみうり賞に松村さん 越谷市展 

東武よみうり新聞社賞を受賞した松村さん
東武よみうり新聞社賞を受賞した松村さん

洋画「森の中の森の家族」

 「第21回越谷市美術展覧会」(越谷市美術展覧会実行委員会、越谷市、同市教育委員会主催、東武よみうり新聞社協賛)が10日から16日まで、越谷市中央市民会館で開かれ、多くの人が鑑賞した。審査も行われ、東武よみうり新聞社賞は洋画「森の中の森の家族」を描いた松村真理子さん(52)が受賞した。
 うっそうとした森の中の大きな木の幹を画面いっぱいに描いた作品。湿った足元にはコケが生え、「腰かけ」のような根には草も生え、いろいろな姿形の植物が「寄り添っている」よう。その姿は「森の中の一家族のように見える」から「森の中の森の家族」と題した。森の空気が感じられそうな、精密に描かれた重厚感ある油絵だ。
 松村さんは「森はそれぞれの場所で栄養をもらい、個々が自分の場所でみずみずしく、生き生きしています。この作品は家族で交響曲を演奏しているようなイメージが膨らみ、描きました。受賞はとてもうれしい」と喜ぶ。
 モチーフは、長野県白馬村のスキー場「Hakuba47 Winter Sports Park」ゲレンデ最上部から登った森の中。現地で何枚もスケッチし、自宅でキャンバスに描いた。自然を描くことが好きな松村さんは、夫(59)とともに日本全国に車で出かけるという。
 松村さんは「家族や友人との旅行、特に山や森を歩くのが好き。凛(りん)と立つ木々。しっかりと根を張る大木。その周りに生育する草やコケ。森は季節や時間、天候などによっていろいろな姿を見せてくれる」と話す。
 今回の作品はコケの潤いを表現するのに苦労した。「しっとりした質感を出すのに何度も色を重ねた。コケは好きなモチーフなので、自分で撮影した写真を見るなど“研究”に時間をかけて仕上げました」という。リアルな質感に巨木の迫力を感じる。
 松村さんは越谷市出身。幼稚園児だった5歳から市内の絵画教室に通い、小学校入学時から油絵を専門に学んだ。高校、大学とも美術部に所属。大学は文学部美学美術史学科で主にギリシャ美術を学んだ。卒業後は都内の百貨店に勤め、サークル活動の「絵画部」でグループ展にも参加。今でも当時の仲間と美術の話で盛り上がるという。
 結婚後、転職し、今はさいたま市内のスーパーにパート勤務し、店内ベーカリー厨房(ちゅうぼう)でパンを焼いている。2016年に「白日会展」初入選し、現在、美術公募団体「白日会」の準会員。
 松村さんは「自然をテーマに描き続けたい。植物たちが“楽しそうにともに生きている姿”を表現したい。いつか個展が開ければ」と夢を語っている。

市長賞に酒井さんら5人 6部門218点を展示

 「第21回越谷市美術展覧会」は日本画、洋画、彫刻、工芸、書、写真の6部門に227点の応募があり、172点の作品が入選。無審査の46点を加えた218点が展示された。各部の入賞者は次の通り(敬称略)。
 【日本画】越谷市長賞=酒井路子「卓上の静物」▽越谷市議会議長賞=横橋成子「白い先導」
 【洋画】越谷市長賞=松田京子「かま土」▽越谷市議会議長賞=小西功「錆(さび)の世界」▽越谷市教育長賞=小島由美子「手紙」▽越谷市文化連盟賞=伊藤雄二「寺院」▽東武よみうり新聞社賞=松村真理子「森の中の森の家族」▽テレ玉賞=越野由紀夫「白木蓮」
 ▽奨励賞=飯嶋久美子「卓上の枯れ花」、金田嘉子「我・培いしロマネスコカリフラワー」、佐野盛太郎「追憶プラハ城」、塩路民恵「熱帯の楽園」、高橋敏彦「森のパンセ―再生」、田中暢子「静寂」、土信田富美子「カンナの花の咲く頃」、野澤信雄「窓からネコが」、野村枝里「地引網」、長谷川栄世「老木の想(おも)い」、藤橋清助「元荒川に春が来た」、山田叔利「足立美術館」
 【彫刻】越谷市長賞=武藤綾子「大洋」▽越谷市議会議長賞=間中孝三「パグ三代」▽越谷市教育長賞=林康子「亜樹」
 【工芸】越谷市長賞=三柴節子「初夏の訪れ」▽越谷市議会議長賞=中村昌子「満天の星」▽越谷市教育長賞=谷茂岡まゆみ「音楽会」
 ▽奨励賞=岩城竹男「高尾太夫」、関澤孝「本藍染浴衣」、湯浅真美枝「キャンベルタウン野鳥の森」
 【書】越谷市市議会議長賞=山口清松「秋の夕ぐれ」▽越谷市教育長賞=関根蒼剣「徒然草 現代文」
 【写真】越谷市長賞=岡安宏典「白昼夢」▽越谷市議会議長賞=豊田己八「初雪」▽越谷市教育長賞=髙橋朗「低気圧を向かい撃て」▽J:COM越谷・春日部賞=青木秀茂「寒風に晒(さら)す」
 ▽奨励賞=大野康博「眼光」、黒川律子「マイペース」、白井克博「雪衣」、廿日岩圭子「山の学校」、米田実代子「いい湯だなぁ」。