JICAの課題も指摘
春日部市粕壁東の県立春日部女子高校(岩井幸一校長)で1月19日、「総合的な探究の時間」の授業が行われ、2年生がこれまでの学習の成果をまとめたプレゼン発表を行った。
同校では、県内の他の高校に先駆けて一昨年から「探求的な活動」授業を実施。今年度は県の「WIN WINプロジェクト」実践研究校に指定され、「学校以外の地域の力(企業、市町村、地域人材など)」を活用し、実社会からの学びを充実させることを目的に授業に取り組んでいる。
2年生は「持続可能な開発目標(SDGs)」をテーマに、18の機関(企業、市役所、動物園、劇団など)を対象に、興味を持った機関、団体に実際に行き、フィールドワークと呼ばれる「取材」を行い、調べたことをプレゼンテーションソフトを使ってポスター形式にまとめた。プレゼン発表には取材先も招き、3〜4人のグループでタブレット端末を使って発表した。
Jリーグの「浦和レッズ」について調べた生徒は、試合会場などで繰り返し使える「リユースカップ」を販売し、プラスチックごみを減少させていることを報告。しかし、「ふたが閉まりにくく携帯が不便。容量も大きい」との課題を指摘し、「埼玉スタジアムだけでなく、ほかのサッカーイベントでも販売し、スポンサー企業の広告を印刷して値下げし、複数のサイズを作って販売しては」と提案した。
JICA(独立行政法人国際協力機構)について調べた生徒たちは「何をしている団体なのか分かりにくい。情報発信が足りないので、SNSで活動をPRしてみては」と提案した。豊福ひめさん(17)は「東南アジア諸国でのインフラ整備、中東地域での民主化支援など幅広い活動をしていることが分かった」。風見菜緒さん(17)は「野口英世博士が黄熱病のためガーナで亡くなったのが縁で、ガーナに野口記念医学研究所が設立された際、JICAが協力したことを初めて知った。将来国際協力の仕事をしたい」と話した。
発表を聞いたJICA職員の高田健二さん(52)は「高校生の声を聞いてJICAの課題が分かった。情報発信力が足りないため、市民から遠い存在になっている。SNSなどもっとネットを使った広報に努めたい」と参考になったようだった。
「探求学習」担当の2学年主任、筧(かけひ)美和子教諭(58)は「身近なところに課題があることを生徒自身が発見できた。その課題を解決することが社会全体の課題を解決することにつながると気づくことができたのが成果です」と話した。
今後、生徒は調べたことを論文にまとめて「探求学習」を完成させる。