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ひきこもり体験を語る 越谷

多くの市民が参加した「ひきこもり市民教室」
多くの市民が参加した「ひきこもり市民教室」

「市民教室」で現状報告も


 越谷市保健所はこのほど、「ひきこもり市民教室」を同市役所会議室で開催し、ひきこもりの人がいる家族ら15人が参加した。家族の不安の軽減や孤独感の解消を図るため実施した。昨年に続き2回目。今回のテーマは「地域で見守り、支える ひきこもり」。同市内にある埼玉県ひきこもり相談サポートセンター長でNPO法人越谷らるご理事長の鎌倉賢哉さん(49)と、ひきこもり経験者の30歳代男性が講師となり、ひきこもりの現状や家族の対応の仕方などを話した。

 鎌倉さんは40歳から64歳までのひきこもり状態にある人が全国で60万人を超えるとの内閣府調査結果を伝えたうえで、「8割が男性。本人の困り具合が見えないことが問題」と指摘。「本人の困り具合、どのぐらい生きづらいのかに目を向けてほしい」とアドバイスした。
 サポートセンターでの相談内容は「ただ話を聞いてほしいという内容が最も多い」とし、心が傷ついた体験をきっかけに、不登校など「社会的関係(学校など)」から撤退する時期には「学校に無理に行かせない。安心してひきこもれるようにすることが重要」と指摘した。
 30歳代男性は、中学校で不登校になり、部活(科学部)だけ学校に通っていたことを先生から指摘され、10代前半でひきこもるようになった。昼夜逆転の生活で、深夜放送のラジオを聴いていた。幼い頃から父親から暴力を受け、ひきこもるようになってからは、さらにエスカレート。日常的に暴力を受けていたため、警察に通報。その後、暴力は止まった。
 ひきこもりから回復するきっかけは、両親が病気になり、病院などの手続きで外出するようになったこと。さらに父親ががんで死去。男性は「(父親の死去で)心に青空が広がったように感じた」という。眼科に通院していたが、「ひきこもりのことは聞かれず、通いやすかった」。
 「越谷らるご」を知り、2011年に当事者同士の集まり「ほっとりんご」に参加すると、気の合う人と会話するように。その後、就労訓練を行い、17年10月にスーパーに就職。現在も働いている。
 男性は「自分のことを知らない地域の方が活動しやすい。『本人の思い』と『家族の思い』は同じではない。本人の思いを大切にしてくれたら、社会参加のきっかけをつかみやすいと思う」と結んだ。
 参加者からは「支援は本人や家族を傷つけることがあり、難しさを痛感した」「男性の話に胸を締め付けられた。コミュニティーの緊密さが良し悪しあると知り、支援方法を考える良い機会になった」などの感想が聞かれた。