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市民団体が子ども支援で連携組織発足 越谷市 

子どもサポートネットワークの活動について話し合う草場さん(左から2人目)と渕野さん(同3人目)ら=埼玉りそな銀行せんげん台支店内「りそなYOUTHBASE」で=
子どもサポートネットワークの活動について話し合う草場さん(左から2人目)と渕野さん(同3人目)ら
=埼玉りそな銀行せんげん台支店内「りそなYOUTHBASE」で=

銀行も協力

 越谷市で子どもの支援ボランティア活動を行っている市民団体が集まり、29日に市民連携グループ「越谷こどもサポートネットワーク」を発足させる。不登校やひきこもり、貧困、児童虐待やヤングケアラーなどの問題を抱える子どもたちの居場所を作ろうという試み。居場所となるのは、同市千間台西の埼玉りそな銀行せんげん台支店の3階フロア。小学生から高校生までの学習支援や不登校児童生徒の居場所、ヤングケアラーの相談場所などに活用する。市民団体と金融機関が一緒になって子ども支援を行うのは全国的にも珍しいという。

 ネットワーク設立を呼びかけたのは、市内でフードパントリーや子ども食堂などを運営している草場澄江さん(59)(埼玉フードパントリーネットワーク代表、せんげん台こども食堂代表)、渕野彩子さん(57)(越谷にプレーパークをつくる会代表理事)、青山享美さん(46)(こどもかふぇ食堂ぽらむの家代表)の3人。
 3人は団体同士が連携し情報共有することの大切さを実感。昨年8月に同市市民活動支援センターで初めて子ども支援活動団体・個人の交流会を企画したところ、予想を超す21人が参加したことから、ネットワーク作りの準備に着手した。課題は子どもたちの居場所(拠点)作りだった。
 一方、埼玉りそな銀行はこれまで、子ども食堂支援や余剰の食料品を寄付する「フードドライブ」活動を実施するなど、銀行全体で子ども支援に力を入れてきた。昨年夏、行員が草場さんの運営する「せんげん台こども食堂」を訪ね、「支店の3階フロアを使いませんか」と呼びかけた。草場さんは「多くの団体に活用してもらい、子どもの居場所にしたい」と応じた。
 同銀行は10月、このフロアを子どもの支援拠点「りそなYOUTHBASE(ユースベース)」として開設。同銀行が子ども支援拠点を開設するのは初めて。
 同フロアは同支店が以前ローンセンターなどに使っていたスペース。面積は約215平方㍍で、50人以上がゆったりと入れ、机といすもある。光熱費も含めてすべて無償で貸し出す。
 運営に携わる同銀行の園田孝文・サステナビリティ推進室長(47)は「(名前には)わくわくする基地のようになってほしいとの願いが込められている。地域の拠点として、子ども支援団体や自治体、地元の大学などと連携したボランティア活動も実施し、子どもの居場所づくりに取り組む」と話す。今後は「図書館スペース」の設置や行員との交流イベント、子ども向けの金融講座の開催なども検討している。

 現在は、草場さんが運営する「無料学習支援『ねむの木』」が毎週火曜日の夕方、主に不登校の小学生から高校生の学習支援の居場所として活用している。同ネットワークの代表にもなる草場さんは「子ども支援の共通の課題が活動場所の確保だった。駅から近いこの場所が無償で貸し出される意義は大きい。子どもたちがここに来れば安心でき、心配事があれば相談できる場所になれば」と期待する。
 渕野さんは「子どもたちに安心してもらうには、いつ来ても決まったスタッフがいて、時間をかけて信頼関係を築く必要がある。スタッフ確保が今後の課題」と話す。
 29日は「ユースベース」で設立総会を行い、一般社団法人「日本ケアラー連盟」代表理事の堀越栄子さん(71)がヤングケアラーについて講演する。