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松伏の織田聖さん 全日本、そして世界へ挑戦

自転車のオフロード競技シクロクロス

全日本優勝へ意気込む織田さん
全日本優勝へ意気込む織田さん


 松伏町大川戸の自転車競技選手・織田聖さん(24)(弱虫ペダルサイクリングチーム所属)が今年、オフロード自転車競技「シクロクロスレース(CX)」で負けなしの6連勝を続けている。シクロクロスレースは、階段、溝、砂、板などの障害物が設置されたコースを自転車で周回し、決められた時間内に何周できるかを競う過酷なレース。勢いを駆って、来年1月14、15日に愛知県稲沢市で開かれる「全日本選手権自転車競技大会」で初の全日本チャンピオンを目指している。
 織田さんは11月22日、滋賀県草津市で開かれた「琵琶湖グランプリ」で男子エリートクラスに出場。2周目から独走状態となり、1時間14秒(0・1㌔+2・8㌔×8周)で圧勝した。
 松伏町生まれの織田さんは4歳の時、会社員の父、達(さとし)さん(55)に連れられて、川口市内にある「BMX(バイシクルモトクロス)コース」に行ったのがきっかけで、BMXレースを始めるようになった。頑丈な競技用自転車に乗り、最大8人で起伏に富んだ400㍍程度のダートコースを駆け抜け、順位を競う。
 しかし、BMXで結果が出ずに悩んでいた13歳の時、吉見町で開催されていた「シクロクロスレース」を観戦。ジャンプなど派手なアクションはないが、ひたすらダートを走る姿に感動し、「自分にはこの方が向いているかも」とシクロクロスを始めた。
 予想が当たり、めきめき記録を伸ばす。2015年、県立越谷東高校2年生の17歳の時に「シクロクロス全日本選手権」のジュニアカテゴリー(19歳未満)で初優勝。初めて世界選手権ベルギー大会に出場し、59位で完走した。織田さんは「参加選手は競技が盛んなヨーロッパ勢が多く、そのスピードに圧倒された。レベルの違いを肌で感じた。観客数も国内とは比較にならないほど多い」と振り返る。
 この年、「弱虫ペダルサイクリングチーム」に加入し、ロードレースも始めた。シクロクロスで課題とする走行スピードを上げるためだった。17年には、シクロクロス全日本選手権のU23(23歳未満)クラスで優勝し、世界選手権オランダ大会に出場した。
 普段の練習は、近くの江戸川サイクリングロードと茨城県の筑波山のコースで3~6時間走り、筋トレで体力をつける。レースは全国を転戦する。「シクロクロスは自転車レースで唯一、自転車を担いで走るコースがあるのが特徴」と織田さん。
 昨年4月のレースでは、ゴール直前に10台以上がからむ事故に遭い転倒。頭を打ち意識を失ったが、一命は取り留めた。「直線では時速70㌔を超すスピードが出るので、転倒は死につながることもある」という。
 国内のレースは父・達さんも同行し、カメラマンとして記録を撮り続けている。
 「来年はまず全日本チャンピオンになりたい。そして、将来は世界選手権で上位20位以内に入れる選手を目指す」と、目標を定めている。

 シクロクロス オフロードで行われる自転車競技。未舗装路、芝、急坂、障害物などの含まれる2・5~3・5㌔のコースを、自転車に乗車・降車・担ぐなどしながら周回し、ゴールの順番や所要時間を争う。競技は不整地の周回路で行われるが、周回数は競技中に決定される。コースには柵や階段などの人工障害物が設けられ、必ず下車して自転車を担がなければならない部分が作られている。