八潮市で活動するミュージカル団体「八潮オリジナル市民ミュージカル」の公演「笑って神様 余命宣告を受けた少女の話」がこのほど、八潮メセナで披露され、約320人が来場した。
同団体は小中学生の子どもたちが中心となるミュージカル団体。2009年に八潮市民を中心とした有志のミュージカル団体として発足したものの、解散の危機などさまざまな経緯を経て、15年から現在の子どもたちが中心となった形で活動が続けられている。
今回の内容は、白血病に侵された余命3か月の中2の少女、蒼井真矢が、その3か月をどう生きるかを描いたオリジナル作品。真矢はみんなの笑顔を見て死にたいと病気と闘う。白血病をテーマにした舞台の主人公の座をつかみ、最後は「幸せ」と死を受け入れ、舞台の上でほほ笑みながら亡くなる――という内容。
今回、午前の部で主人公、蒼井真矢を演じた大原中2年の木村優良さん(14)は、「自分も原因不明の片頭痛を持っていて、呼吸が乱れると脳波が乱れる症状が出る。病気のつらさを知っていて、主人公の気持ちの表現につながったと思う」と話した。
同団体を主宰し、脚本・演出・演技指導を行う白石雄大さん(58)は、「治らないとわかる病気を患う患者に対し、『早く治るといいね』と言うのは残酷なことで言葉が軽くなる。本当に必要なのは言葉ではなく、その人に寄り添う姿勢」としつつも、「舞台なので重くなり過ぎないようにした」と振り返る。さらに「団員一人ひとりが脚本を理解し、考え、演技をしてくれる。脚本家として非常に満足できる作品に仕上がった」と述べた。
公演後のアンケートでも「題材も素晴らしく、みんなが楽しんで演じているのがわかる」「ダンスや歌、演技がすごく、今回も感動した」「芝居に引き込まれた」などの感想が寄せられ、来場者から好評だった。