江戸時代から続く越谷の伝統を今っぽく楽しもうと、越谷市内在住のデザイナーら3人でつくる市民グループ「TRADITIONOW(トラディショナウ)」がカラフルでミニサイズのだるま「越谷こだるま」を考案した。1日、2日の2日間、同市レイクタウンのイオンレイクタウンアウトレット「空の広場」で「越谷こだるまデコレーション・ワークショップ」が開かれ、親子ら180人が「越谷こだるま」のデコレーション体験をした。
「越谷こだるま」は8・5㌢、直径9㌢のミニサイズのだるま。色はピンク(サクラ色)と水色(ソラ色)、うすい黄色(タンポポ色)の3色のパステルカラーで従来のだるまのイメージから脱したかわいらしいデザイン。だるまの命ともいえる顔は市内のだるま職人・島田和明さんが1体ずつ手作業で描き上げている本格的な逸品。
「越谷だるま」は江戸時代から続く伝統工芸として現在も生産が行われている。しかし、時代の変化や後継者問題などで、最盛期には30軒以上あった、市内のだるま工房は現在は4軒にまで減少。職人の高齢化問題もあり、「越谷だるま」は存続が厳しい状況になっている。
この「越谷だるま」の伝統を存続させ、新たな後継者も発掘させたいと、市内のクリエイター3人が立ち上がった。3人はコピーライターの石川久士さん(45)とデザイナーの石川真理花さん(47)夫妻と、マーケッターの田中亮一郎さん(48)。仕事仲間だった3人が今年4月に「TRADITIONOW」を立ち上げ準備を進めた。
だるまは伝統的な縁起物だが、「現代人にはいかつい顔の真っ赤なデザインに苦手意識を持つ人が多いのでは」(石川久士さん)と考え、ミニサイズとし表情を柔らかくしたカラフルな「越谷こだるま」を「越谷だるま組合」のだるま職人と開発した。
「見た目はかわいいけど、だるまの命である顔は職人が描いた本格的なだるまにした」(田中さん)。「3色のミニだるまにキラキラしたビーズやリボンなどをつけてデコレーションして、誰でも自分だけの縁起物としてかわいく仕上がる」(石川真理花さん)と工夫した。
ワークショップはレイクタウンの水辺を生かしたイベント「レイクアンドピース2022」のイベントの一環として開かれた。1体2000円でデコレーションするビーズやリボンもついているとあって、開催直後から家族連れらが多数訪れた。参加者はそれぞれ、顔の周りにビーズを付けたり、リボンを付けたりと工夫しながら、約20分ほどで完成させていた。長女(8)(小学2年)と次女(5)(幼稚園年長)を連れて参加した主婦、菅野和美さん(37)は「おしゃれなだるまなので、子どもたちが夢中になって作っていました。とてもかわいいので、縁起物として部屋に飾っておきます」と笑顔で話していた。
「TRADITIONOW」では、「越谷こだるま」を「イベントなどで活用し、地元の伝統工芸を盛り上げていきたい」と話している。
「越谷こだるま」が誕生・カラフルなミニサイズ