軽トラックの移動スーパー「とくし丸」(本社・徳島市)がこのほど、越谷市新方地区で巡回を始めた。同市では荻島地区に次いで2台目。「とくし丸」は、本社が地域スーパーと提携し、個人事業者のドライバーと契約して商品を配送する仕組み。
「とくし丸」を運行するのは、同市東越谷の溝口久誉さん(55)。大手靴メーカーの元営業マンだったが、実家の母親の介護のために退職。母親の買い物を手伝ううちに、「買い物に困っている人が多いのでは」と考え、今年8月、移動スーパーの事業主となった。
新方地区の高齢者を支える住民組織「新方地区地域支え合い会議」が2020年1月に実施したアンケートでは、スーパーの移動販売を望む声が強く、同市社会福祉協議会に要望した。このため、同市社協はこれを溝口さんに伝えて運行が実現した。
対象エリアは市内の船渡、大杉などスーパーのない地域が中心で6コースを週2回運行する。店頭価格に10円上乗せし、スーパーとドライバーが半額ずつ分け合うシステム。荷台には刺し身やすし、総菜、肉、野菜、果物、パン、お菓子、日用品など約400品目、1000点が並ぶ。
「一人暮らしのお年寄りが多く、野菜や少量パックの総菜、刺し身がよく売れる」と溝口さん。
毎回、ふくし丸が来るのを待ちかねている鵜澤節子さん(73)は「品数も多く多種類で見て買えるので、とても楽しくリクエストにもすぐに応じてくれる」と喜ぶ。
同支え合い会議代表の小平耕司さん(72)は「インターネットでの買い物も高齢者には難しい。このスーパーの移動販売で住民は皆、助かっている」と話す。
同市社協は「現在、市内に支え合い会議は8地区にある。新方地区は買い物不便という固有の課題解決に取り組んだ。反響の大きさに驚いている」と話している。
移動スーパー越谷で発車・高齢者の買い物支援に