コケの研究をこつこつと続けてきた越谷市内の中学生が、「ミュージアムパーク茨城県自然博物館」(同県坂東市)の「ジュニア学芸員」になる。同市立新栄中1年の平山美ら海(みらい)さん(13)。9月25日に同博物館で研究発表し、正式に認定される。小学4年からコケの研究を始め、コンクールで優秀賞を受賞してきた平山さん。アドバイスしてきた同博物館側は「丁寧で積極的な行動力がすごい」と評価し、若い芽の今後の研究に期待をかけている。
平山さんがコケに魅了されたのは、小学4年で参加した川口市・実相寺での「コケ玉作り」。緑色の繊細な物体に心を奪われ、図書館などで独自に調べ、コケは「蘚類」「苔類」「ツノゴケ類」の3つに分かれ、国内で約1900種類、世界では約2万種類が確認されていることを知った。
知るほどに興味が湧き、自宅周辺や学校内でコケを採取。ルーぺで観察し、スマホ撮影して、図鑑と見比べてきた。顕微鏡での確認が必要なため、遊びに行ったことのある同博物館を訪ねたところ、コケ研究者の主任学芸員、鵜沢美穂子さんの指導を受けるようになった。
同博物館の敷地内には、みかんの香りがする「ジャゴケ」や、地面にアーチを描く「コツボゴケ」、ドーナツ状に成長する「ヒナノハイゴケ」などのユニークなコケが100種類以上。それらを初めて顕微鏡で見た。「顕微鏡内でコケは、キラキラしてきれいだった。ピント合わせは難しいけれど、慣れたら楽しくなった」と平山さん。同博物館の同好会「コケの会」にも参加している。
市内のほか栃木県日光市、福島県いわき市などでもコケを観察し、公益財団法人「図書館振興財団」主催の「図書館を使った調べる学習コンクール」では、4年と6年の時に優秀賞を受賞している。6年の昨年のコンクールには、「やっぱりコケが好き」と題して、観察方法や標本の作り方、「ホソバミズゼニゴケ」など14種類の顕微鏡写真などをA4判、60㌻の研究資料にまとめ上げている。
「ジュニア学芸員」は、職員の支援を受け、自然に関する自由研究や博物館の補助活動などを自主的に行う中高校生。4月から養成講座を受講し、9月に研究発表して認定される。活動は来年4月から。
コロナ禍で同博物館に通えなくなった時、越谷市蒲生旭町の同市立児童館「ヒマワリ」の顕微鏡を自由に使わせてもらった。コケ採取に同行する母、純子さん(50)は「自宅に顕微鏡がなく、児童館の協力がとても大きい」と感謝する。「コケの新種を見つけて『ミライゴケ』と名付けるのが目標。生涯かけてコケを追求したい」と、平山さんは目を輝かせている。
鵜沢さんは「身近に生息し多様性に富むコケは、きれいで面白い生き物。平山さんの研究は丁寧で、積極的にアクションを起こす行動力がすごい。今後も好きなことを追求してほしい」とエールを送っている。
コケの研究で”学芸員”に・越谷の中学生、平山さん