生活困窮世帯などが、食品を無料で持ち帰ることのできる「コミュニティフリッジ(公共冷蔵庫)草加」が、このほど、草加市清門2の「生鮮スーパーゼンエー」に設置された。メーカーや問屋などから寄付された食品、日用品が収納され、24時間年中無休で、登録利用者が鍵を開けて利用できる。草加商工会議所が同スーパーに事業委託したもので、関東初の試み。「食品ロス解消にもつながる」として、注目を浴びそうだ。
コミュニティフリッジは、生活困窮者に食品などを無償提供する欧州発祥の取り組み。国内では岡山県で始まり、大阪府、福島県などに広がっている。
草加商工会議所は、「SDGs(持続可能な開発目標)」の取り組みとして、この事業に着目。会員企業から食品を寄付してもらい、ロスを削減しながら、「廃棄コストから運営費を負担する自走型食品支援モデル」を目指すという。
「コミュニティフリッジ草加」と名づけられた公共冷蔵庫は、同スーパー敷地内に設置、プレハブ造りで約14平方㍍。黄色い看板が目印で、冷蔵、冷凍庫の中にはドリンク類や冷凍食品、棚に米、菓子類など市内のメーカーなどからの寄付品が収納されている。
利用は登録制。児童扶養手当や就学援助などの受給世帯が対象(証明書が必要)。「コミュニティフリッジ草加」(https://cf-soka.com/)のホームページから、登録した利用者は、スマートフォンで電子ロックを解除できる。草加市外の人も利用でき、無人で人目を気にせずいつでも取りに行ける。持ち帰る食品などのバーコードを端末に読み取ることで、在庫管理する。すでに利用者登録は100人を超えた。
同スーパーを経営する「全栄物産」は、「フードリカバリー事業」として、規格外野菜や賞味期限の少ない食品を格安で提供してきた実績がある。
植田全紀・代表取締役(42)は、「必要としている人に提供できれば、社会問題化する食品廃棄の問題解決につながり、寄付ならば企業イメージを守るメリットがある」と強調し、「フリッジを子どもや、高齢者支援の食堂の食材調達の場にもしたい」と意欲を見せる。
協賛企業を募り、広告動画を放映して運営費に充てることも検討中。市内の子ども食堂なども運営に協力し、今後、SNSで提供食品などの情報も発信していく予定という。
メーカーなどからの寄付は常時、ホームページで受け付けている。スーパーゼンエーでは個人の寄付も受け付けている。
<問い合わせ>全栄物産(スーパーゼンエー)☎048・942・5009。