父母らの負担を軽減し、専門コーチによる合理的な練習をモットーとする小学生対象のサッカーチームがこのほど、越谷市レイクタウンに誕生した。ユニークなのは、NPO法人が運営しているところ。旗振り役となったのは、同市消防局員の須貝亨さん(30)。須貝さんは「パパさんコーチや父母会などを無くし、指導者を雇用し、地域密着の新たなサッカ
ー文化を築きたい」と張り切っている。
「C.F.Soldado(クルブ・デ・フットボル・ソルダード)」。「ソルダード」はスペイン語で「太陽と戦士」の意。チーム発足に尽力した須貝さんの「水と緑と太陽のまち越谷から、世界に羽ばたく戦士たちを育てたい」との願いが込められている。
4歳からサッカーを始め、文教大学在学時にはドイツのプロチームと契約した経験もある須貝さん。大学卒業後、地域貢献を目指し、同市消防局に就職し、現在、予防課勤務。近所のパパママ友達と少年サッカーの話をすることがよくあり、サッカーをやりたい子ども、子どもにサッカーをやらせたい親、がレイクタウン周辺には大勢いることに気づく(須貝さん)。問題は「父母の負担が大きく親が入会を躊躇してしまう」「専門コーチだけのクラブチームはハイクオリティの指導の代わりに諸経費が割高と感じる人が多い」こと。“サッカー人脈”を通じて、先輩たちに相談したところ、NPO法人化すると、寄付を受けやすく、専門コーチも雇用できる。行政からの事業委託や補助金も受けやすい――といったアドバイスを受けた。
早速、「父母らの負担を無くし、サッカーをやりたい子どもたちにサッカーを!」を第一目標に自前のチームを作ることを決意した。知り合いの市内の企業などを訪ね、「NPO運営のサッカーチーム」への夢を熱っぽく語ると、賛同者が次第に増え、医療機関や建設、飲食店、消防用設備会社など10社から協賛金を得ることに成功した。
2020年10月、NPO法人「Reunir(レウニール)=スペイン語『寄せ集まった仲間により、サッカー仲間を集める』)を設立した。自分のパソコンで選手募集のチラシ(A4判)を作り、自宅周辺の市内レイクタウン地域にポスティングしたところ、大きな反響があり、現在小1から小4まで計60人の選手が活動している。
経済的負担を最小限にするため、入会金や年会費を無くし、月会費とユニフォーム代だけにした。専門コーチを多数雇用し、練習は水・金・土・日曜のそれぞれ1時間半から2時間だけ、レイクタウンスポーツ公園で集中して行っている。7月には、同市特別市民のキャラクター「ガーヤちゃん」をデインしたC.F. Soldado公式ユニホームが完成する。
須貝さんは「サッカー先進国では保護者がサッカーを指導することはない。指導者がサッカーを指導し、保護者は練習場所までの送迎や毎日の食事など家庭で成長を見守る。
このサポートを全面に受け、子どもたちが自ら考えてプレーする選手育成を目指す」と将来を見据えている。