草加の伝統産業のひとつ、「東京本染めゆかた」の伝統技法「注染」を伝える県伝統工芸士、昼間時良さん(85)(八潮市)の「本染めゆかた新作発表会・販売会」が6月1日から7日まで、草加駅西口高架下の同市物産・観光情報センターで開かれる。
ゆかたは、せんべい、皮革と並ぶ草加の伝統産業のひとつ。注染は1㍍弱の間隔で生地を折り返し、何度ものり付けを繰り返す作業で能率が良く、ヤカンと呼ばれる道具で、染料を注ぎ、裏表なく柄が鮮やかに染められ、職人の長年培った技術で「ぼかし」などの手作業ならではの風合いが表現できるのが特徴だ。
昭和30年代の最盛期をピークに、ゆかたの着用機会の減少や安価なプリントゆかたの増加などに押され、注染のゆかた生産は減少の一途をたどった。
現在、県内では注染の技法を伝える伝統工芸士は昼間さんのみ。昼間さんは、中学卒業後にこの道に入り、長年の修行で、本来は分業の型彫りから型付け、染め上げまでの一連の工程をこなせる職人だ。
作品の受賞歴も多数、草加市文化賞(2016年)も受賞。美術大学の非常勤講師や、市民向け講座の講師などで、草加のゆかたをPRする。同市観光協会の「草加さわやかさん」のゆかた、草加商工会議所のクールビズ用「ゆかた染めシャツ」も手がける。
コロナ禍でイベントや講座などが中止となり、久しぶりの展示会だが、高齢のため、「展示会は今回が最後にしたい」と昼間さん。
会場では、アジサイやアサガオ、アヤメなどの夏向けの新作柄20本を含め、ゆかた地反物約50本、仕立物20枚の展示販売をはじめ、ゆかた地で制作した手ぬぐい、弁当用のエコバッグ、マスク、マスクケースなど数量限定で販売する。反物は1万~1万8000円手ぬぐい700円、エコバッグ800円、マスクとマスクケースは各500円。
昼間さんは「使えば使うほど、いい風合いになる、プリントものとは違う、昔ながらの技法によるゆかた染めの良さを見直してほしい」という。
会期中の開館は午前10時30分~午後5時。昼間さんが指導する草加染め同好会の作品も展示する。
<問い合わせ>草加市産業振興課☎048・922・3477。