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「復興イメトレ」市民が体験・越谷で市街地、生活再建を討議

 災害被災地の復興への取り組みをシミュレーションする「復興イメージトレーニング(復興イメトレ)」を一般市民に体験してもらう、「市民版・復興イメトレ体験会」が1月16日、越谷市男女共同参画支援センター「ほっと越谷」で開かれ、10人の市民が参加した。NPO法人「復興イメージトレーニング協会」が主催した。
 「復興イメトレ」は東大大学院生産技術研究所の加藤孝明教授(54)が考案した。主に自治体職員が災害発生時の建物被害調査など対応プロセスを学び、架空の被災地を設定して生活再建や都市復興の道筋をシミュレーションする。2007年から国土交通省が職員研修に取り入れている。
 これを市民に普及しようと、同市東越谷の東京大大学院生、今井裕子さん(56)が昨年2月、NPO法人「復興イメージトレーニング協会」を立ち上げた。「行政主導の復興だけでは真の復興とは言えない」とする今井さんは、市民ベースでのまちづくり計画となる“市民版復興イメトレ”の体験会を準備してきた。
 コロナ禍で開催が遅れ、ようやく開かれた「体験会」では、「仮想の被災地域」の復興のために必要な条件を参加した大学院生や主婦、会社経営者などが話し合った。
 「生活再建」については、“世帯例”を考慮しながら家族全員が情報を共有する方法を話し合い、「市街地復興」については、仮想の地図を基に、道路網や公園などの避難場所、住宅の配置など「災害を通して見えてくるところ」などについて議論を交わした。
 会社役員、田中亮一郎さん(48)は「一人より複数で考える方がいろいろなアイデアが出る。復興を考えることで、今のまちに足りないところが見えてくる」とイメトレ効果を実感していた。会社員、小田由佳さん(56)は「復興を市民が考えるところが面白い」と話していた。
 今井さんは、06年、県庁臨時職員となって「復興イメトレ」を知り、加藤教授から学ぶため、20年に東大大学院生となった。今井さんは、「活発な議論から市民版復興イメトレの必要性を感じた。今後も広く復興イメトレを伝えていきたい」と手応えをつかんだようだった。