管理が難しい人を支援 建物、庭、ゴミ…確認・報告
少子高齢化が進む日本で、増え続ける空き家が社会問題になっている。適切に管理されないまま放置されれば、台風で屋根が飛ばされたり地震で倒壊したりする恐れもある。所有者が難しくなった空き家の管理を代行する「空き家・空き地管理サービス」を、越谷市シルバー人材センターが行っている。定期的に見回り、状態を入念にチェックして、写真付きで報告する。料金も割安だ。「留守中の植木の水やり、お掃除なども扱っているので、お気軽にお問い合わせください」と同センターでは話している。
サービスの内容は、空き家の周りを目視、確認すること。家の中には入らない。「建物および外構等の確認」の他、植生の繁茂具合や隣への越境の有無をチェックする「庭の雑草・植栽等の確認」、ゴミが捨てられていないかなどを調べる「敷地内のゴミや物品の確認」(片付け・処分は別途相談)、「ライフライン(電気・ガスメーター)の状況確認」、「郵便受けの確認」(廃棄・転送は別途相談)など。
立澤幸子さん(77)は自宅の近くの物件を担当している。持ち主が施設に入ったため空き家になり、親族から依頼を受けた。
建物の破損はないか、ゴミが持ち込まれていないか、不審者がうろついていないか、電気のメーターが動いていないかなど、30分ほどかけてチェックする。庭の雑草がボーボーに生えたり小動物が出入りしたりすると、周辺住民からの苦情が来るので、これも要注意だ。
立澤さんは「家の劣化が目立つようになってきた」と記入し、特に雨戸の劣化が進んでいることや車庫周りに雑草が伸びていることなどを細かに記し、写真を撮って報告した。これを見て、依頼主から追加でゴミの片付けや郵便物の廃棄、雨戸の修繕などの依頼が来れば、それを担当する他の会員が別途料金で処理する。
今回の見回りは月1回だが、依頼によって月2回、年1回など頻度はさまざまだ。料金は1回1650円。市外在住者は、ふるさと納税でも6000円以上の寄付で依頼できる。
同センターは2019年、越谷市と「越谷市空き家等の適正な管理の促進に関する協定」を締結。これに基づき、このサービスの請け負いを始めた。一方、定年退職者や高齢者の会員にとっても、仕事以上の意味があるようだ。立澤さんは60歳で会社を退職。「もう目覚ましをかけなくていい」と思ったが、3か月で飽きて同センターに入った。「運動のつもりでやっている。家でテレビを見ているより体を動かしていた方がいい」と楽しそうに話す。
空き家管理はスマートフォンで写真を撮ったり報告書を添付したり、デジタルの仕事が多い。高齢者には苦手な分野だが、立澤さんは長年、事務仕事をしてきたためすぐ慣れたという。庭のドクダミが増えた、春の花が咲いたなど「自分の目線で報告書に補足する」という。
<問い合わせ>
越谷市シルバー人材センター☎967・4311