一人暮らし2000人に子どもから年賀状
三郷市内に住む一人暮らしの高齢者2000人以上にこのほど、市内の子どもらが手作りした年賀状が届けられた。同市社会福祉協議会が市内小中学校やボランティアの協力を得て送ったもの。独居高齢者の孤独感を和らげようと、同協議会が30年ほど前に始めた事業だ。受け取った高齢者からは「元気づけられた」「うれしくて何度も読み返した」と喜びの声が届いており、同協議会では「1枚のはがきが一人暮らし高齢者にとって大きな心の支えになっている」と話している。
年賀状が送られたのは、同協議会が75歳以上を対象に実施している「要援護高齢者実態調査」に登録された一人暮らし高齢者。同協議会は民生委員・児童委員を通じて一人暮らし高齢者の実態を把握しており、今年は2386人に年賀状が送られた。
今月7日、受け手の高齢者と送り主の子どもを代表して、同市さつき平の木下昌彦さん(80)と同市立桜小4年の山﨑蒼大君(10)が瑞沼市民センターに招かれ、顔を合わせた。通常、誰の年賀状がどの高齢者に送られるかはわからず、高齢者と子どもが直接会うことはないが、今回は特別。白蛇が頭にミカンを乗せ、鏡餅のようになった姿を描いた年賀状を山﨑君が手渡すと、木下さんはうれしそうに年賀状を眺めていた。
年賀状の送付について木下さんは「顔を知らなくても、上手下手でなく手描きで送ってくれる年賀状がとてもうれしい。毎年楽しみにしている。周りでも喜んでいる人が多い」と頬を緩めた。母親の知さん(40)と一緒に訪れた山﨑君は「買い物先で見かけた置物などを参考に描いた。恥ずかしさもあるが、喜んでもらえてうれしい」と話していた。
心触れ合う環境作り
同協議会は30年ほど前、ボランティア団体「三郷あしたばの会」の協力を得て年賀状を送付して以来、毎年実施してきた。2014年には年賀状の作成に丹後小学校が協力。以降、年々協力する小中学校が増えてきた。一方、同会は17年3月に解散したため、翌年の年賀状作成には同協議会がボランティアを募集し、11人が力。18年には毎週火曜日に一人暮らしの人の安否確認を行っているボランティア団体「グループふれあい」が協力し、変わらぬ体制で実施されている。
同協議会の浅井富雄事務局長は「年賀状などを通じ、心が触れ合えるような環境を作っていくことが大切」と指摘。「このような接点を持つことから世代を越えたつながりを作り、安心して暮らせるコミュニティーを築いていきたい」と、同事業継続の意義を強調した。