越谷の自宅でスタジオも 母からプロへ本格始動 高尾聡子さん
カメラ好きが高じて、プロのカメラマンとして本格的にスタートを切った女性が越谷市にいる。高尾聡子さん(45)。長年、広告デザイナーとしてカメラマンと仕事をするうちに憧れが強まり、3年前に意を決して会社を退職、美しい場所を背景に人物写真を撮るロケーションカメラマンになった。さらに昨年、自宅を改装してスタジオを作り、写真館を経営するまでに。撮りたいのは、みんなを幸せにする子どもの笑顔。「やりたかったことをやれるのは幸せ」と苦労を苦にせず、情熱を傾けている。
高尾さんは14年間にわたり、広告会社でデザインの仕事を続けてきた。その中でカメラマンとの打ち合わせ、デザイン、レイアウトを手がけるうちに「写真はいいな」という思いが募ったのが、カメラマンを志す最初のきっかけだった。
結婚して出産したのを機に、子どもを被写体にカメラを持つようになり、その思いがさらに強くなった。そんな時、「やってみたいことをやったら」という夫の一言が背中を押してくれた。
2022年に退社して、ロケーションカメラマンになった。桜、コスモス、紅葉など季節折々の景色を背景に写真を撮る。場所を指定して希望者に来てもらって撮影をする仕事だ。
最初は、マルシェで1枚500円で子どもたちの写真を撮ってPRし、お客さんとのパイプを作った。初めは撮影ブースの設営方法が分からず苦戦したが、少しずつ顧客が増えて、今ではマルシェで予約を開始するとすぐに埋まるほどになった。「マルシェは集客があるから、そこでお客さまに知ってもらって接点を持ち、こんなことをやりますよとアクションを起こしていく」のが、高尾さん流の営業だ。
広告デザインの経験から「美」にはこだわりがあった。広告で読者の目線はどこにいくか、どうすればきれいに見えるか、これまで勉強してきた技術を今、吐き出している。写真に修正を加えるレタッチ技術もフルに使って納品する。丁寧な仕事で客がつき、今年は卒業式、入学式、七五三などのイベントで、忙しく動き回った。
昨年5月、自宅にスタジオを作り、雨でも撮影ができるようになった。スタジオ撮影は40分30カットで1万8000円と、料金を安く抑えている。その分、不在のアシスタントに代わってお客さんに協力してもらう。撮影用の花束の造花や飾り物がどんどん増えて置き場がなくなってきたが、それもうれしい悲鳴だ。
予約の入った撮影は穴を空けられない。だから、週末、夫に小1と小6の子どもを見てもらえ助かっている。それでも急に予約が入るなどして、仕事と家庭の境目がなくなる。「子どもが大きくなった時、『お母さんはいつもスマホを持っていた』と言われそう」と苦笑いだ。
今は、自分の生活目線に合わせて子どもたちを撮り続けたいと言う。「自分のイメージに近づくのは大変だけど、やりたかったことをやれているのは幸せ」と高尾さんは笑った。
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