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吉川/夢は姉弟で〝五輪〟へ

ハーフパイプ界に新星 吉川南中1年 岡田亜衣子さん、吉川小5年 純一郎君

ボードを持つ亜衣子さん(左)と純一郎君
ボードを持つ亜衣子さん(左)と純一郎君

 吉川市立南中1年の岡田亜衣子さん(13)と同市立吉川小5年、純一郎君(11)の姉弟は、スノーボード・ハーフパイプでオリンピックを目指している。2026年のイタリア・ミラノ大会は年齢的に難しいが、30年のフランス大会にはそろって出場が可能だ。
 ハーフパイプは、半円状のコースで両サイドの壁を交互に5~6回跳び、技の難易度や表現力を競う採点競技だ。回転は横、縦、斜め方向とさまざまなものを組み合わせる。
 2人がハーフパイプを始めたきっかけは、父、祥一さん(42)と母、万裕子さん(50)の趣味だったこと。シーズンになると両親に連れられ雪山へ。ある時、ばったり会った万裕子さんの元コーチから「娘を本気でやらせてみないか」と誘われた。亜衣子さんは6歳で「埼玉カップビギナー女子」大会でデビューすると、いきなり優勝。小学5年で全日本選手権2位となり、プロ資格を取得。現在は強化指定選手だ。
 得意技は「フロントサイド900」(2回転半)。女子ではあまり跳ぶ人がいない1080(3回転)を練習中だ。今シーズンはプロ3戦で優勝2回、3位1回を取り、国際団体PSA ASIAのプロパイプ女子ランキング1位を獲得した。「じゅんじゅん(純一郎君)は、競え合えるよい仲間」という。
 弟の純一郎君も6歳でハーフパイプを始め、小4から一般クラスで大人と共に戦っている新星だ。昨年11月の全日本予選会R1カムイみさかで2位となり、今年3月の全日本選手権への出場切符を手にした。得意技は、小学生ではあまり見かけないバックサイド900とフロントサイド900の連続技だ。当面の目標はプロになって強化指定選手になること。「亜衣子は小さい頃からライバル。負けたくない」と思っている。
 試合のため1年の3分の1は山へ行く。7~8月と11月は山梨県。年末から1学期の始業式までの4か月間は北海道、東北、中部地方などを転戦する。亜衣子さんは「スノボが一番の楽しみだから、毎日エンジョイしている」。長期間学校を休んでも、ドリルなどで勉強し、学年2番の成績だ。
 一方で、遠征費など家計にかかる負担は重い。遠征には万裕子さんが自動車で同行し、節約のため車中泊もする。それでも「親の趣味がこんな形で夢がかなった。私たちがこの子たちの一番のファンです」(万裕子さん)と2人の成長を楽しみにし、2人も両親の期待に応えようとしている。

ハーフパイプで技を繰り出す岡田亜衣子さん
ハーフパイプで技を繰り出す岡田亜衣子さん