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八潮/方言漢字の現状報告

八潮でサミット

 「第7回方言漢字サミット ― 社会をつなぐ文字文化 ― 」が11月23日、八潮市の八潮メセナ・アネックスで開かれ、市内外から約90人が参加した。来場できない人のためにオンライン配信も行われた。

基調報告を行う笹原教授


 最初に日本製漢字である国字研究の第一人者、早稲田大学の笹原宏之教授が今年、編著者を務めて刊行した「『方言漢字事典』(四六判、292㌻、研究社)の重版を受けて」をテーマに基調講演を行った。笹原教授は「ネットやSNSでも方言漢字は広がりを見せているが、投稿者には字面だけ見て文字を判断するのではなく、漢字の持つ意味などもしっかり理解してから投稿してもらいたい」と述べた。さらに「今後も文献調査や実地調査など地道に発掘作業を続け、ロマンに満ちた方言漢字の啓発活動を続けていきたい」と強調した。


 その後は、新潟県佐渡市の伊貝秀一さんが「佐渡の方言漢字とその周辺」、宇都宮市の鶴田久美子さんが「方言漢字『都』― 宇都宮でみつけた例を中心に ―」、八潮市の昼間良次さんが「方言漢字『垳』と『塙』の地域性を考える」の調査報告を発表。さらに11月10日に実施された「方言漢字ウォーキング大会」の報告が行われた。

 参加者からは「幅広くまとめた発表から特定の地域を深掘りした内容まで、さまざまな話が楽しめた」「なじみのない場所の地域字体の写真が見られて興味深かった」と好評だった。一方で、「報告で紹介された漢字の例をレジュメ(内容を要約した資料)でも確認できればよかった」との要望もあった。
 同サミットを主催した市民団体「八潮の地名から学ぶ会」(長谷田忠夫会長)では、「今までで一番満足度が高かった」とする一方、「運営上の問題を指摘する声もいくつかいただけた。次回の課題としたい」と話した。

 また、サミットでは2027年春に開校予定の新設小学校の名称にも言及。八潮市では1994年4月に番号制だった小中学校の名前を「地名や地域の特色を生かした親しめる校名」に変更しているが、同会では「その時の方針に従い、市民の希望に沿って順当に校名が決まることを切に望む」と注文をつけた。