ルール守り安全運転を 越谷・増林地区
越谷市増林地区で5日、高齢者を対象にしたシニアカー(電動カート)の勉強会が行われた。シニアカーとは、高齢者向けに製造された三輪または四輪の一人乗り電動車両。最高時速6㌔程度で、歩道を走行できるため、足腰の衰えた人でも手軽に外出できると人気が高まる一方、走行ルールを誤ったための事故も後を絶たない。元気なうちに乗り方を学び、今後の参考にしてもらおうと同地区地域支え合い会議が開いたところ、地区住民19人と、参考にしたいと新方地区からも2人が参加した。参加者は「体験できて参考になった」と口々に話していた。
勉強会に協力したのは、シニアカーや電動車いす、電動アシスト自転車を製造・販売する(株)セリオ(本社・静岡県浜松市、望月誠社長)の4人。まず鈴木洸平さんが交通ルールについて説明した。シニアカーは道交法上、歩行者に当たるため、必ず歩道を通行し、歩行者信号・標識に従う。「これを知らずに車道を走る高齢者がいるので、ルールを守って乗車して」と注意した。また、電動アシストを含む自転車は70歳以上であれば歩道を走行できると述べ、「これも結構知られていない」と話した。その後はいよいよ試乗会だ。会場となった増林地区センターと隣の総合公園臨時駐車場には、ハンドル型のシニアカーとジョイスティックタイプの標準型の2種類に、三輪と四輪の電動アシスト自転車2種類の計4台が用意された。
新方地区から参加した小平耕司さん(74)と園男さん( 78 )は、「高齢化が進めば、シニアカーはいずれ利用する。価格、乗りやすさ、利便性など試乗して、地区の会議で話したい」と熱心に試乗。「動けないほど高齢になってから勉強するのでは遅い。今、どういうものか体験できてよかった」と話した。増林地区の齋藤明子さん(53)も4種類全部に試乗。「体験して、その方に合った乗り物を勧められる」と手応えを感じていた。一方、島田順子さん(63)は、「ハンドルがないタイプは前がなくて初めは怖く感じるかも。歩道が斜めになっている時は不安かもしれない」と話していた。
シニアカーには緊急用ボタンが付いているものもある。走行中、体調不良になった時に押すと、「助けてください」と大きな音を発する。参加者は「これはいいね」と話していた。
また、元気な人は主に三輪、四輪の自転車に試乗。三輪は前かごとハンドルが一体化されていないため、重い荷物を持ってもハンドルがブレない。「その分バランスを取るのが大変」などと話していた。四輪は「安定していていい。足さえ動けば高齢でも乗れる」と評判が高かった。冨沢一枝さん(77)は「買い物が大変になるから免許返納はできないと言っているが、本当に乗れなくなった時、毎日息子に買い物を頼めないし、迷惑をかけられない。そのために体験できてよかった」と話していた。
セリオは、2019年4月の池袋暴走事故を機に高齢者の免許返納が増加するにつれ、全国の警察署や社会福祉協議会などから講習会の依頼を受けるようになった。高齢者本人や家族から「一度見せてほしい」との依頼が来るという。この日の勉強会で、住民にとっては、シニアカーが新たな選択肢となったようだった。