国の文化審議会は11月22日、越谷市越ヶ谷の久伊豆神社の本殿、神楽殿、手水舎(てみずしゃ)を国の登録有形文化財(建造物)として登録するよう文部科学大臣に答申した。越谷市が同日、発表した。官報告示を経て正式に同文化財となる。
同神社は、創建年代は不明だが、江戸時代には徳川家康や国学者の平田篤胤(あつたね)らと関わりが深く、篤胤が奉納した大絵馬も残されている。境内地は市指定名勝や市環境保全区域に指定されている。
本殿は1789年(寛政元年)に建設され、木造平屋建、三間社流造(さんげんしゃながれづくり)。側面に獅子、獏(ばく)、龍(りゅう)、麒麟(きりん)などの木鼻が、縁側下には「鯉(こい)と波」が、妻飾には「鳳凰(ほうおう)と雲」などの精巧な彫刻が施されている。
神楽殿は明治前期の建設。木造平屋建、入母屋造(いりもやづくり)。舞台の正面と側面の三方に高欄付きの縁を巡らし、脇障子止めとなっている。屋根の軒先に2本1組の吹寄垂木(ふきよせだるき)と呼ばれる化粧垂木が扇形に施され、舞台正面の意匠性を高めている。現在も神楽の舞台として使用されている。
手水舎は、1849年(嘉永2年)の銘がある手水鉢を覆う建物で、手水鉢と同時期の江戸末期の建設とされる。木造、入母屋造。鳳凰などの彫刻と龍の木鼻が施されている。
国の登録有形文化財の登録基準は、建築後50年を経過している建造物で、①国土の歴史的景観に寄与している②造形の規範となっている③再現することが容易でない―のいずれかに当てはまるものとなっている。
同市内ではこれまで、木下半助商店(店舗及び土塀など4件)、旧大野家住宅(主屋など2件)、大間野町旧中村家住宅(主屋など6件)、都築家糀(こうじ)屋蔵の4か所13件が同文化財に登録されており、今回の登録で計5か所16件となる。
越谷/久伊豆神社、国の文化財に 精巧な彫刻の本殿など