パラ選手 越谷で陸上教室 多様性学び交流
越谷市小中一貫校整備PFI事業として、「ユニバーサル・ラン」(義足アスリートによる陸上教室)が13日、同市立蒲生小学校で、4年生155人を対象に行われた。校舎などの建設を行う「PFIこしがや教育推進設備(株)」(ナカノヤグループ、小林孝裕社長)が取引会社のLIXILの協力を得て授業支援の一つとして実施した。
授業は多様性について理解を深めてもらうのが目的で、講師のパラアスリート、池田樹生選手が「義足についての説明および陸上教室」や「講話」を行った。
池田選手は生まれつき右足と両手に障害がある。子どもたちを笑顔で迎えると、周りに集めて義足を外してみせた。日常用とスポーツ用の2種類の義足を使い分け、100㍍11秒97で走ると話すと、「速っ!」などと驚きの声が上がった。陸上教室ではクマやカエルの「アニマル歩き」でウォーミングアップ。池田選手は、速く走るための練習は「片足ジャンプ」と話し、片足けんけんで走ったり、腕を使ってまっすぐ上に跳び前に進んだりする練習を教えた。特に効果的なのは「縄跳びの後ろ跳び」と言い、姿勢とジャンプの練習を勧めていた。
この後の講話では、当事者の経験談を披露した。
荒金隼士さん(9)は「今やっている野球に生かしたい。義足でもいっぱい練習すればできる。すごく頑張っていると思う」、夏目拓さん(9)は「これからの生活に生かしたい」、吉本莉奈さん(9)は「普通の生活だと大変だけど、スポーツでは不公平がない。かっこよかった」と話していた。
同校では「やさしいまちこしがや」の学習で、さまざまな立場の人を知って考える、理解し交流しながら課題を見つけていく勉強をしている。
学年主任の浜口梢教諭は、「子どもたちはプロのアスリートに接して、障害の有無に関わらず一生懸命やることを学んだ。義足を見てこうなっているのかと理解につながりよかった」と話した。
LIXILは、オリンピック・パラリンピックスポンサーを務めたことから、2017年から年間20回ほど、全国の小中学で「ユニバーサルラン」を開催している。「頭の柔らかいうちに学べるようにしたい」と同社の河部幸紀さんは話していた。