楽しみながら脳を活性 高齢者施設で体験会
越谷市川柳の同市立老人福祉センターひのき荘は、高齢者に楽しみながら脳を活性化させ、世代間交流も図ってもらおうと、気軽にeスポーツを体験できる「ひのき荘みんなDEゲーム」広場を始めた。eスポーツは、コンピューターゲームでスポーツのように対戦するもの。若者世代の文化というイメージが強いが、全国の高齢者施設や自治体で広がりを見せている。今月1~10日には体験会が開かれ、初日は60~70代の男女5人が参加。慣れない操作に苦戦しながらも楽しんでいた。ひのき荘では11日からゲーム機を利用できるようにしており、「ぜひ利用して」と呼びかけている。
体験会では、講師を務めたひのき荘の鈴木祥主任が、ゲームの簡単な操作方法やeスポーツの楽しみ方、健康への効果などを説明した。
参加者の中には「インベーダーゲーム以降、ゲームを触ったことがない」という人もいて、慣れない様子。手始めに、音楽のリズムに合わせて太鼓をたたき、タイミングがぴったり合うと得点になるリズムゲームを体験した。ここは太鼓の真ん中をたたく、ここは縁、強く、連打と目まぐるしく変わる表示に翻ほん弄ろうされながら、真剣にたたいていた。
続いてパズルゲーム。ゲームの速さに「ムリムリ、もう終わり」と笑みがこぼれた。体感スポーツはボウリング。コントローラーを持って投球動作をすると、画面上で球がピンに向かって転がっていく。手首を回して球をカーブさせる器用な人もいて、ストライクが出るとみんな拍手喝采だった。
吉田博文さん(69)は千賀子さん(69)と夫婦で参加。「太鼓ゲームは初めてだったけど、なかなか面白い。孫がやっている。太鼓を打つタイミングとか頭の体操になる。買ってみようかと思っている」とハマったようだった。70代の女性は「頭では分かっているけど、手と心の反応が一緒にならない。それでもいいと思う」と楽しんでいた。
ひのき荘が次の事業を模索していたところ、高齢者施設や自治体で広がりを見せているeスポーツが目に留まった。eスポーツは脳の活性化や認知機能低下の予防になるという研究が数多く発表されている。難しい知識が要らないため気軽に楽しめ、シニア世代のセカンドライフを充実させるきっかけになる。さらに、仲間と交流する機会が増え、地域の子どもたちと楽しむことができるのもメリットだ。
eスポーツを楽しむためのポイントとして、鈴木主任は「対戦相手に敬意を払うこと」「仲間の頑張りを応援すること」「ゲームを大事に使うこと」と話す。
毎月第3水曜日には就労継続支援B型事業所「ONE GAME越谷」の指導員が講習会を開くため、これから始めたい人でも安心だ。また、日曜日に開催される「ふれあいデー」は、市内在住であれば誰でも利用できるため、「お孫さんと一緒に楽しんでいただくこともできるので、世代を越えた交流の場になるよう事業を展開していきたい」とひのき荘の井上靖朗所長は話している。
【利用案内】ひのき荘では、午前10時~午後3時の枠内で、1コマ1時間で機材を利用してeスポーツを楽しめる。場所は1階和室。ゲームの種類はパズルゲーム、体感スポーツゲーム、リズムゲーム。対象は市内在住の60歳以上の人で、費用は無料。利用日の1週間前から窓口か電話で予約できる。
<問い合わせ>越谷市立老人福祉センターひのき荘☎973・7903