大学やメーカーと協力 特産物の小松菜風味
草加市と同市社会福祉事業団が運営する障害福祉サービス事業所「つばさの森」(岡﨑好恵所長)が洋菓子メーカーや2大学と連携し、草加市特産物の小松菜の風味などを生かした「小松菜パウンドケーキ」2種類を共同開発した。11月2日に同市内で開催される「草加ふささら祭り」から販売を開始する。製造を担当した「つばさの森」の製菓班メンバーは「頑張って作ったので、ぜひ味わってほしい」と話している。
工賃増へ売り上げ支援
開発に参加したのは、同市やつばさの森と、洋菓子メーカー「モンテール」(八潮市大瀬、鈴木徹哉社長)、獨協大学(草加市学園町、前沢浩子学長)、日本薬科大学(伊奈町、都築稔学長)の5者。
開発した商品は、「小松菜パウンドケーキ」にサツマイモやリンゴを加えた「ゴロっとさつまいもの小松菜パウンドケーキ」と「シャキッとりんごの小松菜パウンドケーキ」。サツマイモやリンゴの自然な甘さに加え、小松菜のほろ苦さが特徴。健康志向の高い人たちにも味わってもらいたいと、牛乳やバターの代わりに豆乳や豆乳マーガリンを使用するなどの工夫を凝らした。
開発では、日本薬科大学が薬学や栄養学などの視点から材料を検討し、学生の意見を参考にモンテールがレシピを考案。つばさの森の製菓班担当者が製造現場の要望などを伝えながら試作を重ねた。販促ツールやパッケージなどは獨協大学の「広告研究会」が担当。約1年間かけて完成した。
モンテールなどによると、「製造上の都合などで草加市地場産の小松菜は使用していないが、地域のつながりを深めるため小松菜に着目して開発した」という。
価格はいずれも250円。11月2日以降、つばさの森やモンテールの直売店、両大学の構内などで取り扱う。
新型コロナウイルスの影響による景気低迷や原材料高騰などで、障害者福祉サ ービス事業所の運営にも影響が及び、売り上げが減少。 利用者に支払われる工賃が低迷している。売り上げを増やし、利用者の工賃増や働きがいを向上させようと、昨年11月、産官学福5者による「3Cプロジェク ト」として新商品開発がス タートした。3Cとは、現行品の「チェック」、よりおいしくする「チェンジ」、 新しいことへの「チャレン ジ」の頭文字を取ったもの。
今月8日、同市役所で行われた発表会で、山川百合子市長は「地域社会の課題を解決する取り組み。クオ リティーも高く、自信を持って広めていける一品」と 称賛。同市社会福祉事業団の下国季樹常務理事は 「我々だけでは新しい製品 を生み出すにも限界がある。他業界から力添えをいただけ感謝する」と述べた。
モンテールの鈴木智也専務執行役員は「設立70周年の節目にこうした事業に関わらせていただけてありがたい」と強調。獨協大学の前沢学長は「地域コミュニ ティーを考えるのも大学の使命」、日本薬科大学の都築学長は「漢方、健康、医療などで自治体と関わっている。学生にとっても学びの機会になった」と述べた。
この日は市民向けの試食会も行われ、来庁者たちは おいしそうにパウンドケー キをほおばっていた。 <問い合わせ>つばさの森☎935・5678