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草加/英で優秀パフォーマー賞 国際芸術祭

草加・サーカスアーティスト 増井 紬さん

英スコットランド・エディンバラで8月11~18日、世界最大の国際芸術祭「エディンバラ・フェスティバル・フリンジ」が開催された。その中で、日本現代サーカスの新しい旗手として誕生した「CIRQUEWORK(シルクワーク)」の第2弾作品「YOAH(ヨア)」が上演され、主役を演じた草加市在住の増井紬さん(33)が「アジアン・アーツ・アワード(アジア芸術賞)」の「優秀女性パフォーマー賞」を受賞した。「みんなの力でいただいた賞だが、今後の励みになる」と増井さんは喜んでいる。

「YOAH」で見事な演技を披露する増井さん ⒸIan Georgeson

独創性あふれる空中技

 「YOAH」は、増井さん演じる迷いや葛藤を抱えた女性「ヨア」が夜明けの月を見上げ、さまざまな人と出会いながら希望を見いだそうとする物語。国内外で活躍するサーカスアーティストが披露するアクロバットやダンスに、リアルと映像をシンクロさせるプロジェクションマッピングなどの映像演出や、ヨーロッパの電子音楽とアメリカの都会的音楽のエレクトロサウンドなどが組み合わさった、独創性、革新性あふれる新スタイルのサーカスだ。

拍手に応える増井さん(中央) ⒸIan Georgeson


 この中で増井さんは、天井から垂れ下がったティシュー(伸びる素材の特殊な布)を使い、登ったり布を体に巻きつけながら回って降りたりするなどの空中アクロバティック「エアリアル・シルク」を披露。「人それぞれの夜明けを表現したい」「失敗しても挑戦することに意義がある。諦めずに挑戦してほしい」という気持ちを演技に込めた。増井さんはまた、本作品のメインビジュアルも担当した。


 そうした結果、「作品自体に賞をあげたいが、特に増井さん演じる主人公のヨアがとても象徴的だった」と観客や審査員に高く評価された。「YOAH」は50作品の候補から選ばれ、増井さんは同芸術祭に初挑戦で初受賞という快挙となった。


 増井さんは小学2年生の頃から新体操を始め、大学まで続けた柔らかな身体能力が特長。大学卒業後は、EXILE(エグザイル)のバックダンスや東京五輪閉会式のダンスパフォーマンス、ブロードウェーミュージカル「ピピン」日本語版にも出演した。今回の受賞を機に増井さんは、「日本の演劇やコメディー、ダンス、サーカスなどの、敷居が高く閉鎖的な環境を変えていきたい。さまざまなパフォーマンスが行われる『フリンジフェスティバル』をまずは東京近郊で開催できるように尽力したい」と話した。


 増井さんが所属する「シルクワーク」は「WORQUES Productions(ワークス・プロダクションズ)合同会社」(松本一晃代表、本社・福岡市)が総合プロデュースを行っている。

エディンバラ・フェスティバル・フリンジ
 エディンバラで毎年8月、3~4週間にわたって開催される世界最大の芸術祭。世界各国から一流の演劇やコメディー、音楽、ダンスなどのパフォーマーが集う芸術祭として注目を集めている。「アジアン・アーツ・アワード」は同芸術祭でアジアの芸術促進などのため2014年に設立された賞。「優秀作品賞」「優秀男性パフォーマー賞」「優秀女性パフォーマー賞」「優秀ショー賞」「優秀若手パフォーマー賞」「アジアン・アート特別賞」がある。