草加市内 シルバー人材センター
少子高齢化の影響や居住地から墓が遠くなったなどさまざまな事情から、墓参りに行けなかったり墓の維持・管理が難しくなったりする人が増えている。こうした問題を少しでも解決しようと、公益社団法人「草加市シルバー人材センター」が2日から「お墓の清掃サービス」を始めた。同センターでは「信用、信頼を得ていくため講習や実習を重ね、作業する人員を吟味する」としており、今後、作業人員の確保にもつなげていく方針という。
管理難しい人を支援 水洗い、草取り、ゴミ拾いも
このサービスは、市内の墓地や霊園に墓を持つ全国の人が対象。作業は2人体制で行う。初めに線香を上げて故人や依頼者の先祖に清掃開始を報告。墓石を傷めないよう、柔らかなタオルやスポンジ、ブラシなどを使って水洗いし、香炉、花立て、墓誌なども拭いてきれいにする。墓地敷地内の草取りやごみ拾いを行い、作業終了後には手を合わせ故人に報告。作業前後に写真を撮影し、後日、「写真付き報告書」を同センター事務局が作成し、依頼者に郵送して報告する―という流れ。
1坪(約3・3平方㍍)までを基本とし、料金は5000円。プラス2000円で供花も可能だ。
希望者から申し込みがあると、同センターが1時間程度の現地調査を行い、墓地の状況を確認する。墓の大きさが1坪を超える場合や、作業が困難だったり墓地敷地周辺の除草希望もあったりして作業量が多くなる場合は、別途見積もりを出す。希望者が金額に合意し、入金が確認された後、指定された期間内(1週間程度)で作業を実施する。日時などの細かな指定はできない。
境内や管理地内に同センターの会員が入って作業するため、希望者が墓地や寺院などの管理者と事前に話をし、了解を得た場合に限り申し込める。同様にトラブル防止策として、墓が経年劣化などで破損する可能性がある場合は依頼を断る場合もあるという。
同センターの岡部佑治事務局長は「センターは専門業者ではないので、専用の洗剤を利用した墓石のクリーニングや専用の道具を使った汚れ落としはできない」としつつも、「依頼者の気持ちを受け止め、信用、信頼に応えながら作業を行う」と強調。「高齢者の生きがい就労を通じた各種サービスを提供し、地域社会へ貢献していきたい」と述べた。
同センターは1983年に発足。現在、会員数は2000人を超す。
今回の事業は、子孫がご先祖様の墓を守るという伝統的な価値観や文化が変わりつつあり、子孫らに代わって墓を守ることへの拒否感や抵抗感が薄らいでくると考え、サービスの提供に至った。全国でもシルバー人材センターによる「お墓の清掃サービス」は増えており、近隣では、越谷市シルバー人材センターが同様の事業を始めている。また、貴重な知識や経験を有した人材の確保にもつなげ、事業の継続・拡大につなげて行く方針という。
<問い合わせ>草加市シルバー人材センター☎︎928・9211