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越谷/安心できる居場所づくり

利用者親子が恩返し 子ども食堂「なないろりんご」

すべて手作りで調理する瀬尾さん(右)
すべて手作りで調理する瀬尾さん(右)

 越谷市恩間219の7「暮らしのアトリエJiu」で、毎月第3土曜日の正午から午後2時まで、子ども食堂が開かれている。調理するのは、同市袋山の焼き菓子店「おやつ工房ひびのや」のオーナー、渡邊裕子さん(58)とボランティアの瀬尾久美子さん(41)。アトリエではワークショップも開かれており、その利用者も食事をおいしそうに味わっている。「子どもだけでなく大人の居場所にもなってくれれば」と2人は話している。
 「コミュニティ食堂なないろりんご」は2022年6月、渡邊さんが自分の若い頃の体験から、「食べられない子どもたちのために社会貢献したい」と、自分の店が軌道に乗り、子どもが手を離れた時期を見計らってオープンした。
 一方、瀬尾さんは、「うちの子どもが小さい時に食堂でお世話になったから、働いて返す」と、手伝える時は一緒に料理を作っている。夫が単身赴任で、ワンオペで子どもを6人育ててきた。当時、同市越ヶ谷本町の「越谷こどもかふぇぽらむの家」(青山亨美代表)によく世話になったと振り返る。
 子ども食堂は、子どもと同時に保護者を含む大人の居場所でもある。「人と関われて精神的にも助かったし、1食でも楽できた。できる時に活動で返さないと」と積極的に参加している。
 通常の開催日のほか、夏休みや冬休みは回数を増やす。8月23日は20食の弁当を2人で一緒に作り、大人300円、子ども100円で提供した。内容はから揚げ、アジフライ、インゲンのゴマ和え、ひじき煮。毎回デザート付きで、今回は自家製わらび餅を用意。プリン、マフィン、白玉団子などの日もある。
 8時半から準備して、赤、青、黄色と彩りのいい弁当が出来上がり、正午に提供を開始。今回は2人だけだったが、手際もいい。「うちは全部手作りです」と渡邊さん。ボランティアが多く集まった時は、春巻きやコロッケなど手間がかかるものや時間のかかるものを提供する。逆に渡邊さんだけの日は、全て100円でおにぎりと漬物だけにしている。
 夏休み中はイベントを開催。子どもがお弁当を買ったら無料でワークショップに参加できる形にしたり、夏祭りに子どもが大好きなカレーと焼きそばの2種類を提供したりした。
 この日、台所に隣接するスペースでは、「すず花工房」のすずきゆかさんがワークショップを開催。参加した山口安芸子さん(52)は今回初めて弁当を購入し、「帰って娘と食べます」とうれしそうに話した。太田由美子さん(68)は「ワークショップの先生からお弁当の販売があると聞いた。教室も楽しかったし、昼も楽できるし、いい日になりました」と話した。
 今回は、瀬尾さんの息子(9)も弁当の受け渡しで活躍。「昔、食べた子ども食堂のから揚げがおいしかった」と恩返ししていた。
 <問い合わせ>おやつ工房ひびのや☎︎979・8048