就労支援施設 名々花(めいめいフラワー)
障害者一人一人の個性が輝くようにと、草加市柳島の障害者就労支援施設の〝職人〟たちがブリコラージュフラワー(花の寄せ植え)を製作し、販売している。作品には製作者の名前が添えられ、「名々花(めいめいフラワー)」と名付けられた。昨年12月や今年4月のイベントでも大好評で、製作風景などを撮影した写真の展示も9月まで「名々花キャラバン」と題して市内で行われている。関係者らは「写真を見て、障害者の魅力を知ってほしい」と話している。
感性生かし寄せ植え製作
今月4日、NPO法人「believe(ビリーブ)」(近藤啓之代表)が運営する障害者就労支援施設「cafe&farm Lento(カフェ・アンド・ファーム・レント)」で、ブリコラージュフラワーの製作が行われた。指導するのは、同市新里町でブリコラージュフラワー教室を運営する「Atelier Rin(アトリエ・リン)」の鈴木奈緒さん(56)。「職人」は、知的障害のある施設利用者たちだが、「施設で働いていただいているのに利用者と呼ぶのはおかしい」と、ビリーブ副代表の関根共子さん(51)は敬意を込めて「職人さん」と呼んでいる。
職人たちは時間帯で2班に分かれて作業。同市新里町の花卉農家「すずき園芸」(鈴木裕介代表)が協力し、用意した「ラグラスバニーテール」を中心に、鈴木奈緒さんが購入した「ユーカリ」、奈緒さんの知人が庭で育てていた「ラベンダー」などのドライフラワーを手に、ラッピング用のフィルムやペーパー、リボンなどを使い、それぞれの感性を生かしてスワッグ(花や葉などを束ねて作ったインテリア)を作り上げていった。スワッグは市内のイベントなどで一つ500~900円で販売。売り上げは材料費を除き、職人たちの給料に充てられる。
「名々花」は昨年、市内のイベントで丁寧に作業する職人たちの姿を見た鈴木奈緒さんが、「一緒にブリコラージュフラワーが出来る」と直感し、提案したのがきっかけ。
奈緒さんと関根さんはすぐ意気投合した。「出会いは宝。夢のような申し出だった」と関根さん。奈緒さんがブリコラージュフラワー教室を「すずき園芸」で開いていることもあり、「農福連携」の取り組みがスタートした。
職人一人一人が感性を生かして作品を作り、一つ一つに製作者の名前を刻むことから、「名々花」と名付けたという。今回はドライフラワーで製作したが、これまでに多肉植物の寄せ植えなどを製作・販売した実績もある。
製作中の様子を写した写真展「名々花キャラバン」は、今月8日から市内の公共施設などで開かれている。関根さんと鈴木奈緒さんは「障害者に近寄りがたいイメージを持っている人がいるかもしれないが、職人さんの笑顔を見ればその意識は変わると思う」とし、「魅力や作品を知ってもらうことで、最終的に職人さんの給料につながれば」と話している。
<問い合わせ>ビリーブの関根さん☎︎090・1610・8204
市内各地で写真展示
「名々花キャラバン」の開催日程は次の通り(いずれも草加市)。
今月24日まで川柳文化センター▽29日~8月9日、新里文化センター▽8月10~26日、特別養護老人ホーム「草加キングス・ガーデン」(同市遊馬町)▽8月27日~9月2日、中央公民館▽9月10~24日、谷塚文化センター。日程は未定だが、新田西公民館、柿木公民館での開催も予定している。