「能登見て備え痛感」
草加市谷塚南町会(津曲健二会長)は町会会館の敷地内に災害(防災)用井戸を整備し、6月15日、竣工式を行った。草加神社の神職が祝詞をあげ、参加した14人が完成を祝った。
防災への思いが強い同町会自主防災会の日比谷博孝さん(73)が同会の会長になった3年前から意見を出してはいたが、予算などの問題から見送られていた。しかし、今年1月の能登半島地震の状況が連日テレビで報道される中、災害時に備え生活用水の確保が重要と町会役員らの認識が変わり、井戸を掘って雑用水として利用することを本格的に計画。6月4~7日に工事が行われ、手動式の手押しポンプを取り付けた井戸が完成した。
井戸の近くには、災害時に利用する旨や、飲料水には適してないことを明記した貼り紙などを設置した。今後は万一に備え、誤飲防止用の柵なども設置する予定という。
日比谷さんは「これまでの経験から災害用井戸の必要性を訴えてきた。能登地震のおかげといっては言葉が悪いが、設置に至ったことは町会の人たちの安心や安全につながる」と強調した。
津曲町会長(88)は「草加市内でも町会自ら災害用井戸を設置したのはここだけ。利用しないに越したことはないが、能登地震での惨状を見て、備えが大切だと改めて気づかされた」と指摘。「今後は町会全員が利用できるよう、子どもたちにも手押しポンプの体験などをしてもらい、学んでもらう場を作りたい」と話した。