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越谷/命守るAED 24時間OK

自治会独自で進める設置 越谷のコンビニに

大沢外河原自治会の栗田会長、ファミリーマート越谷東大沢店の徳永オーナー、同自治会の片岡副会長、フクダ電子西関東販売の金子さん(左から)
自治会の栗田会長、ファミリーマートの徳永オーナー、自治会の片岡副会長、フクダ電子西関東販売の金子さん(左から)

 越谷市大沢外河原自治会(栗田春巳会長)はこのほど、心筋梗塞(こうそく)などの緊急時に必要な「AED(自動体外式除細動器)」を自治会で独自にレンタルし、いつでも使えるよう近くのファミリーマート越谷東大沢店(徳永謙一オーナー)に設置してもらった。AEDは公共施設などに設置してあるが、夜間や休日には使えないのが難点。課題解決のため自治会とコンビニがタッグを組んだ形だ。
 心筋梗塞などで心停止となった場合、ただちに対処する必要がある。AEDは心室細動を自動的に検出し、電気ショックを与えて除細動を行う高度管理医療機器。2022年の消防庁統計によれば、居合わせた人が心肺蘇生とAEDによる措置を行った場合、50・3%の人の命が助かっている。このため、大沢地区でも毎年1月にAEDの使い方を学んできた。
 同自治会が防災マップで設置場所を調べたところ、大沢地区センターにあるほか、近くの歯科医院からも使用許可が出ている。だが、夜間や休日は使用できないのが実状だ。「いざという時に使えない。これは大変なこと」と、自治会の班長や役員と話し合い、AEDを自治会独自でレンタルすることを決めた。
 問題は設置場所だった。当初は外河原自治会館を考えたが、いつでも使用できるよう屋外に設置すると盗難の危険性がある。話し合いを重ねる中で浮上したのがコンビニ設置案だった。年中無休、24時間営業で、セキュリティーも万全だからだ。近くのファミリーマートに打診したところ、すぐ快諾してもらえた。「とても助かった」と栗田会長(73)と片岡ヤス子副会長(76)は口をそろえる。
 一方、コンビニ側は「以前からAEDを置きたかった。ちょうどいいきっかけになった」と徳永オーナー(42)。混雑時に盗難に遭う危険性を考え、事務所に保管する形にした。今後、オーナー自身がAED講習を受け、店員にも使い方を教えていく。設置を知らせるため、店の2か所にAEDのシールも貼った。
 同自治会はフクダ電子西関東販売(小畑義博代表取締役)と8月1日から8年の契約を結んだ。それまでの間も、貸し出し用AEDを無償で提供してくれた。ただ、月約5000円のレンタル料は約100世帯の小さな自治会にとって決して安価ではない、それでもレンタルに踏み切ったのは、平均年齢約75歳で、みんなが「絶対に必要な器具」と認識したからだ。
 「高齢化社会で、家庭で心筋梗塞、心肺停止になることは普通に考えられる」と栗田会長。「市にもAEDの緊急性を理解していただき、全てのコンビニへの設置に向けて行動を起こしてほしい」と話している。