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吉川/水害の悲劇 後世に

先人の教え 防災の教訓に 災害伝承碑 吉川に3基

協同碑と同碑付近の整備に尽力した旭土
地改良区の進通光之助理事
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協同碑と同碑付近の整備に尽力した旭土地改良区の進通光之助理事長

 吉川市は、水害の歴史を伝えるとともに市民の減災意識を高めるため、2022年9月に市内3か所の石碑を国土地理院の「自然災害伝承碑」として登録し、公開している。今年5月には、石碑の内容を広く知ってもらおうと、同市生涯学習課が碑文の内容を掲載した参考資料「川と共に生きる~吉川市の水利用と水害の歴史(保存版)」を作成した。
 「自然災害伝承碑」とは、過去に発生した洪水、土砂災害、高潮、地震、津波、火山災害などの自然災害の様相や被害状況などが記載された石碑やモニュメントのこと。国土地理院は19年、「自然災害伝承碑」の地図記号を作成。全国の市町村に残る災害伝承碑の登録を募り、国土地理院の地図上に公開することで、こうした災害のことを後世に伝え、防災・減災に役立てる事業を行っている。
 江戸川と中川にはさまれた同市は、水の恵みによって栄えた地域であると同時に、低地であるため大水による水害も受けてきた。こうした歴史を受け、22年9月に「自然災害伝承碑」として、「大威徳明王(だいいとくみょうおう)」、「協同碑」、「重修加藤樋之碑(ちょうしゅうかとうといのひ)」の三つの石碑を国土地理院に登録申請した。
 川藤地内にある「協同碑」は、1890年8月の水害時に旭村(現・吉川市旭地区)と松伏領村(現・松伏町の一部)の住民が協同で防水に当たり、水害を防いだことを長く伝えたいと記している。同市では災害のあった場所に立って見学できるよう、解説板の設置と石碑脇の歩道の整備をした。
 参考資料の「川と共に生きる」には、「協同碑」以外に、水難除よけの石仏「大威徳明王」の側面に刻まれた碑文や、水害で壊れた水路を直したことを記念して1900年に作られた「重修加藤樋之碑」の碑文とその書き下し文が書かれていて、水害の歴史を知ることができる。
 「登録された三つの石碑から『水害』という吉川の歴史の一面や先人の功績や尽力について知っていただき、石碑の教訓から災害の備えにつなげてほしい」と、生涯学習課文化財保護担当の山崎功二主幹は話している。資料は同課で希望者に配布している。
<問い合わせ>吉川市生涯学習課☎︎984・3563

伝承碑の地図記号
伝承碑の地図記号