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越谷/光る個性 味で表現 越谷に初のブリューパブ

歯科医師から転身 ビール醸造士に

クラフトビール醸造に使うホップの準備をする佐野さん
クラフトビール醸造に使うホップの準備をする佐野さん

 作りたてのクラフトビールを味わえるブリューパブ(醸造所併設のパブ)がこのほど、越谷市内にオープンした。クラフトビール・ブームが続く中、近隣ではさいたま市、川口市、春日部市にブリューパブがあるが、越谷では初めて。現在、2種類のオリジナルビールを提供しており、近く3種類に増やす予定。歯科医師から転身したオーナーの佐野明彦さん(47)は、香りや苦みを工夫してさらにおいしいビール作りを目指すとしている。
 この店は、東武スカイツリーライン越谷駅徒歩3分の「NOMENDO BREW STAND KOSHIGAYA(ノメンド・ブリュー・スタンド越谷)」。
 オリジナルビールは「Preparatory Phase」と「Oral Stage」。いずれも佐野さんが工夫を重ねてきた味だ。他の醸造所のクラフトビールも含め15種類を提供している。ハーフパイント(240㍉・㍑)が680円~、レギュラー(310㍉・㍑)780円~、パイント(473㍉・㍑)1180円~。人気は「3種飲み比べセット」1280円。つまみは佐野さんの妻お手製の「栃尾deツナマヨ」、「奈良漬クリチ」、「アヒージョ」などを含め8種類。基本立ち飲みバーだが、ベンチとテーブルもあり2人2組程度なら座ることもできる。テイクアウトはプラカップや同店のグラウラーで提供可能。
 クラフトビールは、小規模ブルワリー(醸造所)で少量生産される個性あふれるビールのこと。「地ビール」が地域性に注目した呼び方なのに対し、「クラフトビール」は味の個性に注目する。その魅力について佐野さんは、「ビールによって色、味、フレーバーが全然違う。ワインや日本酒は利き酒するが、ビールはもっと分かりやすい」と話す。
 佐野さんは新潟県出身。新潟大学歯学部を卒業し、川口市で就職。次の春日部市では15年間、歯科医師として腕を振るった。元々違う仕事に興味があったが、コロナ禍の2022年、「やりたいことをやろう」と思い立ち、昨年2月に歯科医師を辞めてビール製造の道に入った。とはいえ、ビール好きというだけで醸造は全くの素人。栃木県内の醸造所で研修して技術を身に付けると、昨年8月、念願のクラフトビールバーを開店。今年1月には酒類製造免許(発泡酒)を取得して、3月にブリューパブとして再オープンした。
 醸造ビールを目指したのは「自分で好きな味を作れたらいい」と思ったからだ。ただ、まだ思い通りにはいかない。「熟成期間を経て出来上がるまでに味が変わる。大手にない無濾ろ過かのクラフトビールの面白さでもあり、難しさ」だという。ホップを入れるタイミングも、ビールの種類によって違う。ビタリング(苦味付け)は60分煮沸や30分煮沸、アロマホップ(香り付け)は煮沸後や発酵中に投入することも。一つのビールが出来るまで1か月弱かかる。
 「ホップの組み合わせで香りや苦みの出方を極めたい。苦みと香りを強めたビールを造りたい」と佐野さんは話している。

醸造したクラフトビール
醸造したクラフトビール