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三郷/曾祖父から引き継ぎ文科大臣賞

高校生の中村さん 城の自由研究コンで「道庭城」

 中世(鎌倉時代~室町・戦国時代)頃、三郷市半田地区にあったとされる「道庭(どうにわ)城」について、同市半田の高校生、中村潔敬さん(15)が中学生の時にまとめた研究成果が、このほど行われた「第22回城の自由研究コンテスト」中学生の部で、最高賞の文部科学大臣賞を受賞した。3年前に亡くなった曾祖父、種雄さんの研究を引き継ぎ、自分自身の新発見も盛り込んだ。中村さんは「高校在学中にはインターネット媒体に情報を載せ、道庭城のことを検索できるようにしたい」と話している。

場所を特定 模型で復元

 中村さんは、郷土史家として道庭城を研究していた曾祖父の資料を再検証。明治時代の地図から、道庭城があったとされる長方形型の微高地北曲輪(きたのくるわ)の南側にキノコ型の微高地(南曲輪)を読み取るなど、新たな発見とともに47㌻に及ぶ研究レポート「道庭城いざ復元」をまとめた。夏休みを使って道庭城の復元模型も製作した。

 審査委員長の加藤理文・日本城郭協会理事は、「曾祖父の『半田村は元々、道庭村』との仮説を検証するため、明治以降の地形図や発掘調査資料を読み取り、現地調査を経て城の場所を特定。城を方形館として復元し、後世に伝えたい資料としてうまくまとめてある」と高く評価した。

中村さんが中学3年生の夏休みに制作した復元模型

 中村さんは「受賞したことで道庭城をもっと広められる」と喜ぶ。
 研究のきっかけは、一昨年秋、同市立彦成中学校で行われた「三郷市の魅力を伝える」という国語の授業。道庭城は知名度が低く、城跡は私有地としてかろうじて一部を残すのみ。周辺は再開発でかつての姿が失われた。曾祖父の研究は1985年11月12日付本紙で紹介されたが、それ以降も本格的な調査に発展せず、インターネットで検索しても何も出てこない。かろうじてグーグルマップに史跡として「道庭城跡」という記載があるのと、過去の同コンテストで道庭城をテーマに扱った作品があることを知った。

 このままでは道庭城が歴史から消えてしまうと危機感を感じ、授業で発表した。その後、道庭城の鬼門の方角に位置したとされる「半田稲荷神社」創建とのつながりについて調査を進め、「三郷市プレゼンテーションコンテスト」で「日本一マイナーな城・道庭城」として発表、最高位の教育長賞を受賞した。

 道庭城は、跡地周辺を観察しても、大きな石垣や高い天守閣を持つ近世城郭のような遺構は見つからない。このため道庭城は「平城」(平野部にある武士の館を中心に堀などを巡らせた城)と見ている。曾祖父と同じ見解だ。

 父親の健太郎さん(44)は「祖父(種雄さん)と城跡で表面採取をし、陶片などを見付けたことがある」とし、「息子が祖父の研究を継いだので、できるだけサポートしたい」と話す。
 中村さんは「土地所有者などの問題はあるが、将来、発掘作業などをして道庭城について明らかにしたい」と夢を語っている。